武器が日本縛りの異世界道中

水火麟

序章

第1話 終わらない縛りゲームの始まりと霊族男性

 俺は、産まれた時霊感が強かったと言うかうちの一家が強かった。だから、神社とかに行くと神様らしき影が良く昔から見えた。親にも、「神様が見てるから辞めなさい」って口煩く言われていたっけ。まぁ、最近はほぼ見えなくなってきているし、もう関係ないし良いか。

 色々と妄想しながら俺は、暗い道を歩く。まさか、終電に乗り遅れて歩いて帰るとは思わなかったけどそれが一番良い選択だと自負している。


 深夜で静まり返り時々冷たい風が吹き下ろす住宅街を歩いている男性会社員の「ハヤト」。彼の勤めるのはそこまでブラックではないがこういう風にたまに夜遅くまで勤務することがある。そして、今日はたまたま終電を逃したのでこうして歩いて帰っているのであった。

 数分後、彼の目の前に何かの動物が地面に着地する音が聞こえる。その音を聞き顔を上げると、底には一見何も見えてなかった。しかし、彼には見えているのであった。


 「白狐……?なぜ此処にいるんだ」


 俺は、気になりその他の事を自分の思考から排除しその方向へ小走りをする。

 

 しかし、彼のこの行動は間違っていた。T字路に出た瞬間。横から無灯火・スピード違反の車にはねられるのであった。そして、彼の意識は=0になるのだった。



 「あぁー派手にやっちゃったね。君さ」


 俺は、目を開けると訳の分からない部屋に入れられていた。車にぶつかられたところまでは覚えているが、それ以降は分からない。そして、「派手にやっちゃった」と聞こえた方を向くと、一人……いや1柱の存在に気付くのであった。


 「まだ、霊感も強い強い。アオトクン少し話をしよう」


 俺は、言われるがまま目の前の椅子に座るのであった。


 部屋は5メートル四方であり窓はない。そして、アオトともう一人が互いに向き合って座っているのであった。先程、話をしようと問いかけていた者はまた、話し始めるのであった。


 「うちの白狐が迷惑描けてごめんね」


 目の前に座っている者は、そう言うのであった。俺はある程度理解し、口を開ける。


 「貴方の神社に祭られている狐ですよね。私も昔からので。そして、貴方も祭られている側ですよね」


 見覚えあると思っていたら、やはり実家の近所の神社の神さんか。となると……そう言うことか。


 「死んでるよ。君は確かに死んだ。だけどさ、まだ勿体無いしそれに他の神も転生薦めていたしさ。転生するか?」


 アオトは冷静だった。冷静すぎていた。まるで何回も来ていたかのように冷静だった。普通なら、発狂しているだろう。なぜって?死んでるからだ。そりゃあ、皆死にたくないから発狂する。だけど、やはりアオトは冷静だった。霊感があったから見たことあるし、家系的にも受け入れる余裕が彼にはあった。


 「まぁ、神様としての口調は置いておいて。まぁ、人生やり直せるならお願いします」


 アオトはそう答える。しかし、アオトは見逃さなかった。神は少しニヤケる。まるで計画が上手く行ったかのような顔を。だけど、気付いたら何処かの路地裏で寝ているのだった。

 静かに立ち上がり、まず目に入るのは石畳の上に置かれた一口の刀。その隣に背中に担げられるよう袋も置かれていた。

 

「俺の名前だ。なんだこの封筒。」

 俺は刀を袋に仕舞い、ショルダーを右肩に通し落ちぬよう右手で掴む。

 周りは石造り建物であり、少し苔が生えていた。そして、そのまま前に歩いて進み開けた場所に出る。


 路地裏から出たアオトの目には西洋感漂う町並みと、様々な種族が写るのであった。道を歩くもの達はどこか、異世界(言い換えると剣と魔法の世界)のようであった。


to be continued


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る