第36話

舞はマイクスタンドの前で、新曲を熱唱していた。日曜日の朝9時、渋谷駅前の路上にMARIAの4人が集まって、ベースやギター片手に歌を歌い続ける。そうしていると、道を歩いている人達が、1人また1人と足を止めて、歌を聴いている。

今日の舞は白のロゴTシャツに、Gパン、頭にピンクのキャップを被り、足元のスニーカーもピンクで合わせていた。


「お腹すいたな。ジョイルズ行ってハンバーガーでも食うか?」

そう言われて、ふと時計を見ると、既に午後1時を過ぎていた。

「もうこんな時間?道理でお腹空くと思った」

舞は今やっと気付いたように、悠哉の顔を見る。

マイボトルの中の、スポーツドリンクを一気に飲み干すと、広場前のベンチに持たれた。

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