第10話:罰(その2)「鏡に映った飼い慣らされた私」

寝室の一角に置かれた大きな全身鏡の前に、王女は無理やり立たされていた。一糸まとわぬ姿……つまり全裸だった。サマルティアの王子がその背後に立ち、冷たい笑みを浮かべながら彼女の肩を掴む。


「見ろ、これが僕の“メス豚”の姿だ。」


その言葉が彼女の耳に届いた瞬間、王女の顔が羞恥で真っ赤になった。目の前の鏡に映るのは、涙に濡れた瞳と羞恥に震える唇、そして無防備な自分の姿だった。目をそらそうとしても、鏡の中の自分が否応なく目に飛び込んでくる。その姿は、自らの尊厳を砕き、心の奥底まで侵食するようだった。鏡の中の自分を見れば見るほど、耐えがたい羞恥心が全身を突き刺し、火傷を負ったかのような感覚に苛まれる。


「やめてください……そんなふうに呼ばないで……。」


震える声で懇願する彼女を無視し、王子はさらに冷酷な言葉を浴びせた。

 

「ローランシアの王子はどう思うだろうな?君のこの姿を見たら――いや、僕に飼い慣らされたこの姿を見たら。」


王女の胸に鋭い痛みが走る。彼の言葉が頭の中で反響し、胸の奥深くに突き刺さる。ローランシアの王子……彼がもしこの姿を見たなら、きっと軽蔑するだろう。そう思うと、胸が締め付けられるような苦しみが押し寄せる。秘めた想いを抱いてきた相手に、自分が堕ちた姿を知られるかもしれない――その考えが彼女の羞恥心をさらに煽り、心の奥底を抉った。


鏡の中に映る自分は、まるで今の自分が背負った全ての罪を暴露するかのようだった。彼に見られることなど決してないはずなのに、彼の軽蔑に満ちた視線を想像するだけで、耐えがたい羞恥心と自己嫌悪に押しつぶされそうになる。


「やめて……お願いです……。」


彼女は鏡に映る自分の姿から目を背けようとしたが、王子はその動きを許さなかった。彼は彼女の顎を掴み、無理やり顔を鏡に向けさせる。


「逃げるな。自分の姿をよく見ろ。そして感謝しろ――僕がどれだけ飼い慣らしてやったか、鏡に向かって礼を言うんだ。」


王女の体は震え、言葉を発しようとするたびに喉が詰まるようだった。それでも、王子の威圧的な態度に抗えず、涙を流しながら小さく呟いた。


「……ありがとうございます……。」


その声は震え、涙に濡れていたが、王子の耳には届いていた。王女はその一言を口にするたび、自らの尊厳が音を立てて崩れ落ちるのを感じた。鏡の中に映る自分の姿は、彼女自身を痛烈に責め立てるようで、羞恥と屈辱、そして絶望が心を掻きむしる。


「足りないな。」


王子は冷たく笑い、さらに追い打ちをかけるように言った。


「自分が何を言わなきゃいけないか、分かっているだろう?」


王女は震える唇を噛み締め、顔を伏せた。しかし、王子は容赦なく彼女の顎を掴み、鏡に向き直らせた。


「感謝しろ。“僕が君にしてやったこと”すべてに対してだ。具体的にな。」


その言葉に、彼女の心がさらに深く傷つくのを感じた。涙が止まらない。それでも、彼の冷たい視線に逆らうことができず、王女は震えた声で言葉を紡ぎ始めた。


「夫以外の男を……愛している……こんなメス豚に……優しくしてくれて……ありがとうございます……。」


その一言一言が、彼女の心をえぐるようだった。鏡に映る自分の顔は、羞恥と苦痛に歪み、涙でぐしゃぐしゃになっている。それを見つめるたびに、彼女の中で何かが砕け散っていく。


「まだあるだろう?」


王子の声がさらに低く響く。その声に押され、王女はさらに続けた。


「……メス豚が……夫以外の男と……関係を持ったことを知っているのに……別れないでくれて……ありがとうございます……。」


声が震え、言葉を絞り出すたびに、王女の目からは新たな涙が溢れ出した。言葉を口にするたびに、自分自身が鏡の中で崩れ落ちていくように感じられる。羞恥が全身を覆い、呼吸さえも苦しくなる。


「いいぞ、次だ。」


王子は満足げに微笑みながら、さらに命じる。


「……メス豚である……汚らわしい私を……抱いてくれて……ありがとうございます……。」


その言葉を言い終えた瞬間、王女は膝から崩れ落ちそうになった。しかし、王子は彼女の肩を掴み、立たせ続ける。


「もっとだ。まだ終わってないぞ。」


王女は抵抗する力を完全に失い、鏡の中の自分を見つめながら、涙を流し続けた。


「……メス豚が……裏切ったのに……見捨てずにいてくれて……ありがとうございます……。」


その言葉を口にするたびに、王女の心には羞恥と屈辱、そして自責の念が深く刻まれていった。彼女は鏡の中に映る、涙と苦痛に満ちた自分の顔を見つめ、そこに映るのは、もはや自分ではないような気さえした。


王子はその様子を満足げに眺めながら、最後に冷たく言い放った。


「よく言えたな。鏡の中の自分によく感謝しておけ――“メス豚”としての自分にな。」


王女は鏡に映る自分を見つめ続けた。そこには、涙で顔を濡らし、誇りを打ち砕かれた自分の姿があった。心の奥底から湧き上がる羞恥と絶望に、押しつぶされそうになる。


「これが……私の報いなのだ……。」


彼女の胸には、言葉にできない羞恥と絶望が渦巻いていた。それでも彼女は、鏡に映る自分の姿から目を背けることができなかった。

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