第7話 揺れる戦場

朝陽が昇り始めた前線基地には緊張感が漂っていた。第七機甲騎士団は新たな任務に向けて準備を進めている。ギルフォードの命令で、今回の作戦は帝国軍の補給路を叩きつつ、前回の戦闘で現れた真紅のフレームに関する情報を集めることが目的だ。


リオンもまた、オメガフレームの点検を終え、最後の準備を進めていた。


「よし、これで整備は完了だ。」

整備士の一人がリオンに声をかける。


「ありがとうございます、マイクさん。」

リオンは整備士に感謝の意を伝え、フレームのコクピットに乗り込む。


「リオン、今回は慎重に行けよ。」

整備士が背中越しに声をかける。


「はい、大丈夫です。」


リオンの顔には決意が宿っていた。彼は今回の作戦で、自分の力を試すつもりだった。


第七機甲騎士団の部隊は、オメガフレームを中心に前進を始めた。今回の作戦は山間地帯を通過する帝国軍の補給路を奇襲する形で進められる。


「各機、周囲の警戒を怠るな。」

ギルフォードの指示が通信を通じて全員に伝えられる。


リオンのオメガフレームは先頭を進んでいた。彼の視線は鋭く、周囲の地形を細かく観察している。


「リオン、緊張しすぎだぞ。」

隣を進むカールが軽口を叩く。


「ええ、でも……慎重に行きたいんです。」

リオンは笑いながらも目線を前方から離さない。


部隊が補給路に到着すると、すぐに帝国軍の部隊が待ち構えているのが確認された。


「接近戦の準備!全機展開しろ!」

ギルフォードが鋭い声で指示を出す。


帝国軍のフレームは数こそ多くないが、整然と配置されていた。その中心には見覚えのある真紅のフレームが立ちはだかっている。


「またあいつか……!」

リオンは真紅のフレームを睨みながら、コクピット内で拳を握り締めた。


「リオン、感情に流されるな!」

ギルフォードの冷静な声が通信越しに響く。


「了解です、隊長!」


戦場が動き出すと同時に、リオンのオメガフレームは前線に立つ。帝国軍のフレームが迫りくる中、リオンは機敏な動きで応戦した。


「こいつでどうだ!」

リオンは機体の肩部に装備されたマシンガンで敵を迎撃しつつ、近接戦闘用のナイフを構える。


敵の一機が接近してきたが、リオンは素早い動きでナイフを振り抜き、相手の関節部分を正確に切り裂いた。


「やった!」


その瞬間、通信が入る。


「リオン、調子に乗るな!」

カールの警告が入った直後、別方向から飛び込んできた敵機がリオンを狙って攻撃してきた。


「くそっ!」

リオンは何とか体勢を立て直し、反撃に移る。


戦場の中央で、真紅のフレームが圧倒的な存在感を放っていた。その動きは驚くほど洗練されており、まるでパイロットと機体が一体化しているかのようだった。


「隊長、あの機体をどうにかしないと……!」

通信機から聞こえてきた隊員の声が緊迫している。


「奴の動きには一定のパターンがある。落ち着いて対処しろ。」

ギルフォードは冷静に状況を見極めていたが、その目には一瞬の迷いが浮かんでいた。


「リオン、無理はするな!」

ギルフォードの声がリオンに向けて響く。


「でも、僕がやらなきゃ……!」


リオンは機体を前進させ、真紅のフレームに向かっていく。他の団員たちが援護射撃を行いながらリオンをサポートするが、敵の動きは速く、容易に追いつけない。


「こいつ、速すぎる!」


リオンは攻撃を繰り返しながら、相手の動きを読み取ろうとする。しかし、真紅のフレームはその場から消えるような動きで反撃に出る。


「リオン、下がれ!」

ギルフォードの声が響いた。


「でも、隊長!」


「いいから下がれ!」


その一言に、リオンは歯を食いしばりながらも指示に従い、後退する。他の団員たちが一斉に敵を囲む形をとり、ギルフォードが前に出た。


「真紅のフレーム……貴様の目的は何だ。」


ギルフォードが問いかけたが、敵機からは何の応答もない。ただ、そのまま静かに撤退していく。


戦闘が終わり、基地に戻ったリオンたちは疲労困憊だった。


「隊長、僕がもっと強ければ……」

リオンはギルフォードに悔しそうに言葉をぶつける。


「お前は十分にやった。それを認めることもまた強さだ。」


ギルフォードの言葉に、リオンは拳を握り締めながらも少しだけ気持ちが軽くなるのを感じた。


「次は……絶対に負けません。」


その決意がリオンの瞳に宿り、次なる戦いへの準備が始まった。

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