依頼
「これらが依頼にあった月明草です。しっかりとすべてあるか。間違いなく月明草であるか。そこらへんも含めて確認をお願い」
「はい。確認しますね……」
「お願い」
「……確認、出来ました。確かにこれらはすべて、月明草ですね。感謝いたします。五つほど余分に採取されていますが、こちらはどうなさいますか?」
「買取お願いできる?」
「はい。可能です。こちらの方で買い取らせていただきます」
「うん。ありがとう」
太陽が昇り、ちょうどてっぺん辺りを少し超えた頃。
そのあたりで僕は冒険者ギルドの方に戻ってきていた。
既に依頼に関しては終え、今は採取してきた月明草を受付嬢さんへと提出し、それらが本物であるかを確認してもらっている最中だった。
「それにしても、本当に依頼をこなす速度が尋常ではないですね……朝。依頼に向かい、お昼に帰ってくるとは。凄まじい速度です」
「まぁ、それが僕という人間だからね」
別に僕に関しては森に行き、鑑定をひたすらかけて月明草を探していくだけだからね。そんなに時間がかかったりもしない。
これくらいであれば楽々ちんちんだった。
「僕の一日はまだまだ終わらないよ」
仕事して一日が終わり。
そんな悲しいことは嫌だからね。僕はまだ異世界に来たばかり。色々とやりたいことがあるからね。仕事ばかりしているわけにはいかないから。
「それじゃあ、受付嬢さん。また明日」
「はい。また明日です」
ほとんど人がいなかった朝とは違い、かなり人の喧騒で満ち溢れている冒険者ギルド。
そこから僕は退出し、まだ明るい街の中へと繰り出していった。
……。
…………。
「お昼は何処に行こうかなぁ?……いや、別に余りお腹も空いていないし、飯抜きでいいかも?」
これから何をやるか。
それを考えながら僕はぶらぶらと目的もなく街の中を進んでいく。
「……あら」
そんな中で、僕はいつも行き慣れているこの街の図書館へと自然にやってきていた。
無意識の中で、僕はこの図書館へとやってきていたのだ。
「まぁ、ここに来たのなら、やることは一つだよね?」
お昼を食べるか……そこらへんも含めて悩んでいた僕は自分の前にある図書館へと入ることに決める。
無意識であれ、僕の体がここに出向いたということは、食事よりも本を、知識を求めていたということ。
なら、それに従うべきだよね。
別に一週間くらい飲まず食わずでも僕の体は全然平気だからね。魔物なので。人じゃないのだ。
「やっぱり図書館での勉強しか勝たん!だね」
そんなことを考えながら、僕は図書館の中へと入っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます