プロローグ-下-

-アキラ視点-

何はともあれ、何とか無事転生を果たし、一週間が経ったところで一つ発見がある。この世界にはどうやら元の世界にはなかった仕組みがあるみたいだ。ステータスオープンと念じるとステータスのウィンドウが表示される。

定番な要素とはいえ、実際に起こるとこう、ときめくものがやはりあり、魔法使いになった気分になれる。ちなみに俺のステータスは


名前: 佐藤 アキラ 種族:星 年齢:18

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スタミナ 30

筋力   30

強度   30

魔力   15

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スキル:無限再生

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称号:一生童貞,ひねくれ者,星獣ビースト(幼体つぼみ)


(一生童貞ってどういうことやねん、まだ決まったわけじゃないだろぉ!?って種族星ってなにどういうこと?生き物として扱ってもらえないの!?でも確かに1週間くらい水しか飲んでないけど生きてるなぁ。)

何のことかよくわからない情報が多いため頭の中で情報を解釈しきれなかったが、どうやら人間ではないことが確かになってきていた。

とここまでが実はよい報告だったりする。なら何が悪い報告なんだよとツッコミたいところだとは思うが、世の中上には上がいるように下には下がある。なんとこの世界というか、多分この星には俺以外に動物がいない、それどころか、植物も水草みたいなものしかない、いや正確には水の中にミジンコみたいな生物はいるのだが、少なくとも周辺には食料になりえる動物や異世界よろしく魔物さんたちなどはおろか、雑草一つ生えていないのだ。これはいくらなんでも異世界転生で知らないパターンすぎる。

「まさか、性奴隷堕ちルートよりひどいルートがあったなんて」

震える声で、アキラは独り言をこぼす。

(性奴隷堕ちなんて生ぬるい、このルートは転生したら太古だった件、.......なんと恐ろしい)

これは言語とか文化とかそんな高レベルの問題ではなくそもそも何も無い、END

みたいな話だ、さらに悪いことに地上には植物がないから無くした衣服を補えるものがない、主人公1週間フルちんで探索する異世界ものとか、どんだけピーキーな作品だよ。.....いやほんとに、ダビデ像だってもっとましな格好してるぞ葉っぱついてるし、

「これは、数年したら、....話し方も知性も忘れて動物になりそう......」

「ハハっ」

と乾いた笑いが出た。いや、もう笑うしかないだろう。



-21億年後-

なんやかんやで、無事元気に今日まで生きてきたアキラはなんと御年約21億歳、地球上で3分間しか戦えない光の戦士の何百倍も生きてしまっているアキラは超お年寄りだが、アキラのスキル無限再生のおかげか、はたまた種族が星というのが関係しているのかはわからないが見た目も魔力以外のステータスも18歳のころのままであった、なんとアキラのステータスはどれだけ運動しようとおなかが減ろうとこの21億年で魔力以外微塵も変化も見せることはなかった。しかし魔力だけは一年に1づつ上昇し現在のアキラのステータスは


名前: 佐藤 アキラ 種族:星 年齢:2105456790

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スタミナ 30

筋力   30

強度   30

魔力   2105456805

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スキル:無限再生

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称号:一生童貞,ひねくれ者,星獣ビースト,守護者,裸族,悪食,

開祖,教師,神敵,屈折者


なんか悪いことしないと行きつけない数値になっていた。


-アキラ視点-

生命ってすごいですねほんとに。最初の数年は荒野しかなかったこの世界もしばらくすると草原になってきて、ちゃんと動物らしい動物もちらほら見るようになってきて、生物が進化の過程で獲得した器官や習性などを見るたびに「はぁ~賢ぉい」と口から思わず漏れるほど大した仕組みを兼ね備えてどの生物も生存競争を生き抜いてきてるのだ。最近なんて言葉を話せる文明を持った人間っぽい種族が出てきたかと思ったら、石造りの城なんかを作りはじめて、人類の発展の速さと生命の進化の速さを体感し、その発展の速さや知恵に仰天したのだ。

あっ俺ですか?そりゃぁ21億年前から成長したのは魔力と服を着ているということだけですがね.....人それぞれ成長には段階というものがあるということをこの21億年ちょっとで学んだわけですよ。つまり俺は21億年間いろいろやってた結果、服を着れているのだから十分だろうということですよ。たぶん。

そういえば最近青肌の鎧を着こんだおっさんに捕まった。

おっさん曰く自分は魔国タリタスという国の魔王さまとのことで、領地内にいた人間と思しき俺を人間の間者だと疑って捕まえたのだという。捕まってしまったからには拷問でもされるかと思ったが、意外に拷問されるでもなくまず検査みたいなものをいくつか受けた。その過程で、俺が人間ではないと判断されたようで、なぜか怖がられ鋼鉄の十字架にがっちりと固定されて薄暗い部屋に押し込まれた、そしてたまに魔王のおっさんが話に来るという奇妙な生活が始まった。

魔王のおっさん曰く、おっさんの名前はリュドミラ・アーデ・ヘルというらしく、最初のうちはまじめな、俺の正体に関する話だとか、再生の力についてだとかをしつこく聞かれたが、わからないものは分からないので、正直に答えて、こちらも一つ聞かれたから一つ質問を返すということを繰り返していたら、いつの間にか魔王のおっさんと仲良くなっていた、最近の悩みは腰痛だそうだ。

そうして奇妙な日常が始まってちょっとしたころ、魔国タリタス内で反乱が起きて国が戦火に包まれたそうだ。そこで、その戦いを抑えるため俺の再生の力が宿ったアイテムや薬を作りたいのだと頭を下げて魔王のおっさんに頼まれてしまったのだ、どうやらそのアイテムの制作には俺の血肉がいるらしく、俺の体を切断することでの血肉の提供が必要があるとのことだった。普通ならいやだが仲良くなってしまったから俺もただ切り捨てることがさみしいと感じ、戦火が収まるまでという期限付きで血肉の提供を承諾した。俺は優しいのである。そしてあれよあれよとしばらく年月が過ぎ、日課となった俺の肉削ぎ削ぎタイムが来て現在クールビューティーシスターさんが鉈をぶんぶん素振りしている様子を遠い目で見ている今に至る。


-シスター視点-

私はカフ・シュレッド、細断教会で鋏の役割を与えられた最高位の司祭だ。鋏などの名のある役割を任せられることは大変名誉なことだが、同時に不幸だとも言われている。まぁ毎回鋏の役割を受け継いだものは苦労すると教会内でも噂だったがまさかここまで大変だったとは思ってもみなかった。

鋏の役目は教会地下、3000年前魔国タリタスが建国して間もない神代の時代より封印されし怪物の死体から肉を削ぐことだと一般的には伝わっている。私も鋏の役割をお師匠から受け継ぐまではそうだと思っていた。怪物は死後も強力な魔力を持ち、死体に近づくにも強力な魔力を有している必要があり、普通の魔族では近づくことができないため鋏という役割ができたのだと。そう私も納得していた。が現実は違った。怪物は生きていた。漆黒の髪に、底の無い穴のように真っ黒な瞳、それに対比するような真っ白な肌、そして言葉では言い表せないほどの強大な魔力を有した怪物、怪物は魔力封じの封印を幾重にも施され、四肢一つ一つに魔力を抑制する拘束具を二つ付つ装着されている。のにもかかわらず濃密な魔力があふれ出している。普通なら拘束具一つに触れただけでも魔法はおろか、魔力すら感じられなくなるほど魔力が抑制されるのにだ。

私がはじめてその怪物と相まみえたとき、それはお師匠から鋏の仕事の引継ぎをしてもらう日だった。

怪物は初めて会った私ににっこりと笑いかけ、私に向かって

「やぁ新人さん、俺はアキラ、お手柔らかに頼むよ」

と優しく私の目を見て告げてきた。怖かった。こんな魔力の塊みたいな怪物に優しく微笑まれても何も和まない。

「あっあぁ、よろしくたのむ、」

やっと絞り出したのがその一言だ、

だというのにお師匠はあの怪物と楽しげにおしゃべりをしている。

「ちょっと!アキラさん私の弟子ちゃん怖がらせないでよぉ!!」

お師匠はそのピンクの短髪を揺らして容姿さながら子供のようなしぐさで驚くほどラフに怪物に話しかけている。そんなことをして本当に大丈夫なのだろうか、このクラスの怪物がキレたら教会はおろか、魔国タリタスごと吹き飛ぶんじゃないだろうか?

まぁタリタスが滅びるのは時間の問題ではあると思うが....

「なっ!?」

「そんなことないよルーさん、かなりフレンドリーにしたじゃん」

と、お師匠に自分は悪くないということを必死に伝える怪物、心なしか悲しそうだ

「フレンドリーにしたいならまず魔力を抑えてよ」

お師匠は怪物の悲しそうな様子にお構いなしだ

「だからね、俺魔力のコントロールとかできないの」

「やりたくても、どうすればいいかわかんないからできないの!」

怪物がお師匠に駄々をこね始めた。しかし怪物の言ってること自体はそうだろう、魔力の扱いは魔力の操作にたけたものでも難しく、さらにあの怪物は拘束具にふれているのだから魔力の流れが歪んでうまく操作できないだろう。

「だーーかーーらーーー!!」

「こうギュっとして、パシュって感じで消せるでしょ!」

無茶苦茶な身振りと手ぶりで説明するお師匠

「これだから感覚派は!!」

「新人さんも絶対苦労したよ!!」

その通り、実にに苦労した。っと思わず怪物の言葉に同意しそうになった瞬間

「なんだとー!そんなことないよね弟子ちゃん」

「わかりやすいよねー?シンプルで」

と、お師匠にすがるような眼で確認されてしまった、そのため否定はしずらい、だから私は

「はい..わかりやすいですオシショウ」

思わず目をそらしてしまったが完璧だ。まぁ私はこの手のごまかしをお師匠に何度も行ってきている、.....ので、そうそうばれるとも思えない、私は嘘がうまいのだ。

「ほーらわかりやすいって弟子ちゃん行ってるよアキラさん」

よしっごまかせてる。

「いやいやいやいや目が泳いでんじゃん新人さん」

しまったばれていた。

「お粗末といえばお粗末すぎるごまかしだよルーさん」

「気を使われてるんだよ、200歳近いおばさんがこんな地下室で俺みたいなお年寄りの相手なんてかわいそうだって」

「貴様ー!!言ってはならないことを口にしたなぁ!!誰がロリババァだ!!今日という今日は細切れにして、ミンチ肉にしてやる!!」

お師匠が怪物の煽りにキレて腰にある二本の鉈を両手に持って怪物に切りかかるべく鬼の形相で構えを取る

「そんなこと言ってねぇだろ!このロリババァが!やれるもんならお手柔らかにやってみろよー!!」

怪物の強気なんだか弱気なんだかわからない威勢を合図にお師匠が神速ともいえる速さで怪物の胴体に切りかかり、お師匠の斬撃が何度も怪物の胴を寸断するのだが怪物はというと

「あだだだだだだだ!!」

といたがりはしているが奇妙なことに血しぶき一つ上がらない。お師匠の連撃は私でも見るだけで精一杯の速度であり、並大抵の竜や鋼鉄ならば一瞬で細切れになるのだが、怪物の体は驚くことにお師匠の斬撃が怪物の体を寸断した瞬間から再生し斬撃が通ったことも感じさせないほど完璧に再生されている。その再生速度は私の目でも追えないほどだ。

まさに常軌を逸した再生能力、確かにこの怪物からの素材ならば、欠損部位が再生する薬や、身に着けているだけで回復力の上がるペンダント、自己修復される武具などといった馬鹿げたものが出来上がるのも納得できる。

十分ほどお師匠の連撃が続いたのち、

「はぁ、はぁどうだあぁ参ったかぁ」

と息切れしながら怪物に言うお師匠。しかし怪物のほうは

「いたかったぁ」

「わざと痛く切っただろルーさん」

痛がった様子はあるものの十分間も一方的にお師匠の斬撃を受けてまだ余裕があるようだ。間違いなく怪物だ。

「はぁ、ほんっとタフだなぁ」

とお師匠が愚痴をこぼし、くるりと体ごと回り私のほうを見て、

「弟子ちゃん、この通りこのアキラさんから何とかして肉なり、血液なりを隔離して採取するのが鋏の仕事です」

と呆れたように仕事の説明をする。お師匠はまだちょっとイラついてるようで怪物をぺシペシと叩いている。

「もお本当大変だから、頑張ってね弟子ちゃん」

「じゃあファイト!」

と言って仕事の引継ぎを終わろうとするお師匠だったが、何かを思い出したように降りむくと

「あっ、あと言っておくことがあるんだけど、アキラさんには月に一回陛下が面会しに来るから。失礼しないようにねぇ~♡」

最後にとんでもない事実を知ってしまった。あまりに衝撃のカミングアウトだったためしばらく固まってからやっと

「えっ?」

という声が出た。

「大丈夫だよ新人さんあんまり緊張しなくていいよ、あの子そんな小さいこと気にする子じゃないから」

怪物が陛下をあの子よばわりしている。

「ぇぇぇ」

陛下とこの怪物がどういう関係なのか知りたいところだったが、その日は怖くて聞けなかった。

それが怪物、改めアキラさんとあった初めての日出来事だ。

そこから100年ほど経過して、

「できるだけ...痛くしないでください..」

プルプルと震えながらアキラさんが切断の方法をお願いしてくる。

しかし私の技量ではそれは不可能であるため正直に

「無理だな」

と否定する。

昔は怖くて仕方なかったアキラさんが逆に私に怯えている。

私はこの状況が少し滑稽なような、あの怪物が少しかわいいような気がして、つい、いじめてしまう。

「断面はきれいにするさ」

長尺の鉈を素振りしながら感触を合わせていく一度ですべて断ち切れるように、できるだけ痛みが一瞬で終わるように、私は鉈に魔力を流しエンチャントを施す

「エンチャント....フランマ」

ごおぉう、という音とともに鉈が赤く発光し、炎が噴き出る。その噴き出る業火を魔力を操作して鉈の刃の部分に収束させる。

そして、アキラさんをこれ以上怖がらせないよう、一瞬で肉を削ぎ落す。アキラさんの再生を少しでも遅らせるため傷口を焼いて傷を一時的に破壊し続け、肉を分離し、アイテムボックスに入れて隔離する。高等魔法の付与魔術と希少スキルのアイテムボックスを使った私の代で確立した手法だ。

「あっついし、超痛い!!」

「フフッ...終わったぞアキラさん」

「なんで、いつもシスターさんそんな微笑んで切ってくるの???」

涙目になりながら聞いてくるアキラさんに私は何でもない、ということを伝え安心させるため微笑みで答える。

「フッ」

「なんだ!?その微笑は?」

「えッどういうことシスターさん!?」

「俺はケバブの肉じゃないよ!?」

と慌てるアキラさんに、ふと、前から気になっていたことを聞いてみる。

「なぜ私のことを名前で呼ばないんだ?アキラさん」

そうだ、お師匠のことは愛称までつけて読んでいたのに、私のことはずっとシスターさんシスターさんと...名前で呼んでくれない....もう100年も一緒にいるのにだ、そのことが妙に不快に感じて、アキラさんに説明を求める。

「えッだってシスターさんの名前知らないし?」

「まぁ名前で呼ばれるのが嫌な人もいると思うし、そういうのはデリケートなもんdっ」

「カフだ、カフ・シュレッド」

堪え切れず言葉をさえぎってしっまった。そういえばまだ名乗っていなかった、盲点だったな、などと考えていると、私の名前を聞いて何か考えていたアキラさんがまっすぐ私の目を見て

「カフさんね、いい響きだね」

とニコッと笑って名前をほめてきた。

ッ///..そんなことを急に言うので気恥ずかしくなって、思わずアキラさんから目をそらしてしまった。

まったく。....///

この人は何を考えてるのやら、

ふぅ、...この日常を守るためにも次の戦争も勝たねばな.......

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