第49話 王子閃さんは案内する
「真奈さん、こんにちは」
「あら、閃ちゃん。いらっしゃい!」
王子さんの案内で訪れたのは、大通りに面した酒屋さんだった。
店内にずらりと並ぶ瓶は圧巻で、思わずぽかんと口を開ける。
「今日はどうしたの?」
店員さんか……あるいは店長さんかも知れない。五十代くらいの女性が、カウンターから出て来た。どうやら、この方が、『真奈さん』のようだ。親しげな笑顔とちゃん付けから、王子さんの知り合いであると察せられた。
「母さんから頼まれて。急ぎで甘酒の追加発注を頼みたくて……。あ、ここの椅子、休憩に使わせて貰っていいですか?」
「いいわよ~」
南雲さん、座って休んでて。と王子さんが微笑んだ。……後光が差して見える。
ありがたく、座らせて頂くことにした。真奈さんに会釈すると「どうぞゆっくり休んで行ってね」と優しく微笑まれた。
「それで、急ぎの追加発注ってことは、ジムの方ね。今日? 明日?」
「はい。出来れば明日の朝がいいらしいですけど、無理だったら明後日でも、と」
「多分、行けると思うんだけど、ちょっと待ってね。あ、ゆず蜜の方は何か聞いてる?」
お二人の会話を聞きながら、改めて店内をぐるりと眺める。
(すごい、どれも日本酒かな?)
壁一面に並んだ一升瓶には、どれも様々なラベルが貼られてあった。まるで美術館や博物館の展示のようだ。
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