反覆の内争
「ハミット!俺の妹を殺したのか⁈」
「?妹?確か、リブ……だったか?」
「ああ、よく覚えてたな。お前の家に猿耳のボスと一緒にいただろう⁈」
「……?いや……みんな知らない顔だったし、リブはお前と同じ赤鼻だろ?いや、お前の方がでかいか?」
「……⁈」
「ボス!もしかしたら、リブちゃん生きて……」
「なら、リブは何処へ……」
そこに大勢のヘルブリッジ団が事務所に強引に雪崩れ込み、頭に包帯を巻いた猿耳のボスが現れる。
グリグラ側は手前十人程度、猿耳のボス側は三十人以上と多く、グリグラはそこでしてやられたと気づいた。
ここまで従っていた他の手下は、味方を増やしていた目障りな俺を消すチャンスを伺っていたんだ。
「よお、グリグラ!短いボス生活はどうだった?」
「ボ、ボス……」
「お前の事は前から気に食わなかったんだよ。反抗的だし、どうにかしてやろうと考えてたからいい機会だ。まとめて仲良く死ね」
「貴様、よく生きてたな」
ハミットに冷たい目で吐かれ、猿耳のボスは一瞬ビクッとなるが、強気で答える。
「ふ、ふん、車が爆発する直前に抜け出せたんだ。俺は悪運強くてなあ」
「リブはどうした⁈」
「リブ?そんな女いたかあ?」
「グリグラぁ、あの女は今頃ワームの胃袋ん中かもな」
猿耳の仲間が言うと、グリグラは怒りを露わにする。
「き、貴様!」
ハミットはそんな会話をよそに、ハンドガンを取り出し、柵の扉の鍵を壊す。
素早くクラブの鎖を引きちぎると、さっさと帰ろうとする。
「え、ちょっ、待って……」
「じゃ、俺はこれで」
と言うので、グリグラは慌てる。
「ハミット!」
「何?」
その目は猿耳のボスを見る目より冷たい。
「はは、ハミットに助けを求める気か⁈」
「くっ」
「じゃあ俺は行く」
「お前も逃さねえよ、ハミット。ドアを簡単に通すわけねえだろうが」
「内輪揉めに俺らは関係ない」
「弟の仇と俺様をこんなにしたんだ。タダじゃ済まねえんだよぉ!男女があ!」
「結構根に持つんだな。じゃあ全滅するしかない」
「バーカ、死ぬのはお前だ!」
猿耳がドアの向こうに走って移動し鍵をかけ、事務所を孤立させたかと思えば、下からドーンと一室丸ごと突き上げられる。
「うわー!」
「な、何だ⁈」
そこにいたのは、巨大ワームだ。
窓が割れ、汚染された空気が入ってくる。
「くそ!猿耳の奴、親を呼びやがった!」
「まさか、これを飼い慣らしてるのか?」
「エサで操ってんだ。って事はまさか……」
「ガスマスクが奴らに奪われた!」
「うっ、気持ち悪い……」
次々と体調を崩し始める部下をグリグラは逃がそうとする。
「俺の事で巻き込んですまない。お前らは先に逃げろ!」
「猿耳と違い、グリグラは俺達の事見捨てない」
「ケイ……」
「ボス!あそこ!」
「リブ⁈」
リブがぐったりした様子で、小さい檻の中にいる。
何か体に塗られているようだ。
「ワームの好物の牛の血と脂が塗られてる……」
そこでハミットが動く。
「クラブ、それにグリグラ達は、俺がリブを助けたら、すぐに逃げるんだ」
彼らを守るように最前に立つハミットにその場の誰もが頼もしく眩しく見えた。
「あ、リブちゃんが!」
「リブ!」
その声より早く動き、ハンドガンで鍵を開けるが、ワームが檻を突き上げた時、リブが出てきたのを見て、ハミットがキャッチする。
リブに付着する血と脂をハミットは自分の体に擦り付け、すぐにグリグラに引き渡し、部下達とクラブは急いで逃げる。
「ハミットもすぐ逃げろよ!」
「ああ」
「まさかワームを倒すつもりか?そんな無茶な……」
「いくらお前が強いからと言って、さすがにあれは……」
「……やるしかない」
一方猿耳のボス達は、軍の待ち伏せに合い捕まっていた。
「入口が二カ所しかないんだから、ま、こうなるわな」
「軍隊が来るの早すぎるだろ」
「ハミットや俺達を敵に回すからだ」
アーモンド達はガンビットを装着し、項垂れている猿耳のボス達を捕え、次の作戦に出る。
「クラブは無事みたいだし、よし、ハミットがあのクソでかいワームと戦ってる。俺達も行くぞ!」
「ラジャー!」
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