第17話

城の門番、スズランと名乗る女性

私は軽い準備運動をしながら観察する

さっきの戦いを見た限りじゃ

武器は持たず、格闘術を使う人だろう

そんな人に剣で戦うわけにはいかない

私はリアに勇者の剣を預ける


「よろしいのですか?」


「うん、力を証明するだけだし、なんとかなるよ!」


「……分かりました。お気をつけて…」


「フフフ…それでこそ勝負!貴方。名前は?」


「私はカモミです。よろしくお願いします!」


「カモミさんだね!僕はスズラン!スズちゃんって呼んでね♡よし!じゃあ始めるよ!!」


す、スズちゃん……?って呆気に取られてると

スズランさんは素早く拳を突き出す

慌ててその拳を受け流してから掴んで背負い投げをする

地面にうち付けようとしたが、すぐに受け身を取られて距離を取られる


「おおっととと、見た目的にただの女の子かと思ってたけど、流石勇者!僕も負けてられませんね!」


お喋りな人だなって思ってると

高速でパンチを連打してくる

私はすぐに防御するが、腕が凄く痛い

何か反撃しなきゃ……!

こうなったら私もパンチ連打ぁぁ!


「ここで必殺!回転すれば全部避けられるの術!!」


何か叫んだと思いきや

クルクルと回転して私のパンチを華麗に避ける

ええ!何それ凄い!!!

…でも回ってる中心殴れば…と思って

ポコっと殴ると「あうっ」と転ぶように倒れてしまう

な、なんかこの人……ば…いやいや、ダメダメダメ!

それ言っちゃ失礼だよ…


「ワイス様…あのスズランという方。馬鹿ですよね」


「り、リア君!しーっ!」


「な、なにおう!ならばBUTIKAMASUZE KAKATOOTOSI!!」


スズランさんはそう叫ぶと

何故か大文字ローマ字で技名が出てきて

かかとを頭の上から振り下ろす

なんでわざわざローマ字!?と思ったけど

すぐにそのかかとを両手で掴んで塞ぐ

その際、スズランさんのスカートの中が見えてしまう


「いやん♡どこ見てんのよエッチ〜」


「ちょ、違います!!」


「はいスキありパンチ!!!」


「いたっ!さっきからずるいですよぉ〜!」


このままじゃスズランさんのペースにのせられちゃう

どうにかして私のペースに持っていかせないと…!

スズランさんの攻撃を見極めて…ここだ!

と隙のあるお腹をパンチすることに成功

…したけど、なんか…感触が…?

と思い、お腹をさすってみる


「おろ、もしかしてバレちゃったかな?」


「この感触…フサフサ感……貴方人形!?」


「イエーーース!僕は着せ替え人形スズラン!僕もチュリって子に意志をつけられた1人はなんですよ♪」


だからやけに…フサフサ……

だ、ダメだよ私、今は闘い中……


「闘い終わったあとに抱きしめてもいいんぞよ?」


「えっいいの!!?」


「もーちろーん!何この子かーわーいーいー♡」


「……ワイス様、あの方殺してきてもよろしいですか?」


「ちょちょちょストップストップ!!!」


これは意地でも勝ちたい!

でもなんか戦う雰囲気では無くなってきた様な気もする

するとスズランさんは、ポケットから1輪の花をだす

あれはもしかして…鈴蘭の花?


「じゃあ私の渾身の一撃を耐えられたら、勝ちにしてあげましょう!いっくぞー!トランスフォーーーー厶!」


鈴蘭の花は光り出したかと思えば

空中に放り投げ、その光はスズランさんをつつみ出す

すると服装が変わっていくじゃないか

その格好は……


「ウエディングドレス……?」


【第17話 トランスフォーム】

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