第6話
「ねぇ、あなた、お向かいさんの事なのだけれど……」
大手銀行に勤める、悠作の帰りはいつも遅い。
私は、シチューをよそって、悠作の前に置くと、向かいに腰掛けた。
「何?お向かいさんがどうかした?」
「それが、悠聖に対しての行動が、ちょっと異常なのよ、今日だって……」
悠作は、私の話を黙って聞いていたが、首を捻っている。
「里奈が、気にしすぎなんじゃないか?学校ボランティアのついでに悠聖に校門で話しかけたり、遊びに行かせてもらった際に、不要な洋服を、くれたりしてるだけなんだろ?」
「でも、一度、悠聖のことを、春人って呼んだのよ?
「ま、里奈は、元々神経質な所があるからな。此処は、田舎だし、尚更かなぁ。てゆうか、そのお向かいさんの名前は?よく考えたら、お会いした事もないし、名前も聞いてなかったなと思ってさ」
悠作は、空になった器にスプーンを置くと、ご馳走様でしたと手を合わせた。そして、ポケットからスマホを取り出し、いつものように携帯ゲームを始める。
「杉原美穂子さんっていうの。何故だか知らないけど、毎日、白いワンピース着てるわ」
私の言葉に、悠作のスマホを弄る手が、ピタリと止まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます