恋愛のススメ

遊野煌

表紙

ーーーーねぇ、恋愛ってドキドキするものでしょ?



『はいはい』


ねぇ、ドキドキしなきゃ恋愛じゃないの!



『恋愛ってドキドキしなきゃダメ?』



何言って……ちょっと、春馬はるま聞いてんの?



真理亜まりあは真理亜でいいじゃん』




私のうなじから指を挿し入れて、春馬が、私のよそ見ばかりの癖っ毛を綺麗に魔法をかけていく。


『俺、真理亜の髪の毛に恋してんの』



意地悪く笑った春馬のその言葉の意味に、私はまだ気づいてなかった。

  



ーーーーあなたの指先は魔法みたい。



昔見た絵本の中のお姫様みたいに、あなたの指先で私に魔法がかかる。



ひねくれた、よそ見ばかりのお姫様には王子様なんて来ないと思ってた。



『夢、思い出してよ、真理亜』




幼い頃に願った、おままごとみたいな夢は、ちゃんとあなたが叶えてくれた。




そして、今日あなたの指先が、私を人生で一番綺麗に魔法をかけてくれる。




ーーーーうん、綺麗じゃん

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