深夜に響く背徳NTRメシ 〜好きな人の推し料理捨ててあいつの暴力的な旨味にメシ堕ちした私♡〜

神達万丞(かんだちばんしょう)

第1話「チャラ男VS料理部長 味勝負一ヶ月目」


 ここは私立如月学園。うちの学校では全国区に名のしれた有名料理部がある。

 野球部並みに五十人以上を超える規模の部員。全てのレベルは高く、この功績は華やかで、過去にはパリの三星や銀座で活躍している板前やシェフも輩出している。

 そして私がその格式高い料理部部長、二階堂 輪是(ニカイドウ リンゼ)だ。学年は三年生女子。

 料理の腕前は普通だけど鋭い味覚が武器だ。


 うちの部は今年もクッキングインターハイ優勝候補の一角として注目されている。

 世間は選手が誰になるのか、雑誌の予想合戦が過熱。  

 言わずもかな既に、団体戦、個人戦、共に私の判断でレギュラーメンバーは選出済み。まだ予定だから今後も変わるかもしれないけど、自信を持って選抜した百戦錬磨の強者揃いだから心配はしてない。


 これで後顧の憂いはないと顧問は太鼓判押すけど、実はでかいお荷物がいる……。


 なあなあ、俺と付き合ってくれないかw? 

 何で伊達先輩と交際しないといけないんですか! 寝言は寝ていってください。


 大事なミーティング中にナンパ?

てめぇふざけるな。


「こらこら伊達君、部内でナンパしないで!」

「ナンパじゃねえよ、俺の味見役だw」


 なんの味見役なんだか……。下品な。


 伊達竜一。同じ三年。品性下劣、金髪、ピアス、タンクトップ、遅刻魔、無断休み、料理人どころか学生にも劣る。うちの部活の癌だ。いつもエロいことを考えているような下卑た笑みを浮かべている。

 この前まで遊び歩って二年間休学経験あり。なので本当は先輩なのだ。

 一度は料理部を抜けたが、復学後再び料理部へ戻る。はっきり述べて迷惑でしかない。

 この人相、語り口、後輩達が怖がってモラルがないのでトラブルメーカーだった。


「——まあまあ、部長そのへんで。彼も悪気はないんだよ」

「あまいよ誠志郎……相馬君」


 人前だから言い直す。幼馴染みだからといって例外はない。体裁は守る。


 相馬 誠志郎。私の幼馴染みで昔から好きな人だ。

 部内ナンバーワンの実力者で、次のインターハイで団体戦では切り札、個人戦では優勝候補と謳われている。


 でも、なにか様子がおかしい。誠志郎が部の汚点であるチャラ男を庇うなんて天変地異だ。

 その訳は後でわかる。



「——どういう事かしら伊達君」

「ちょっとお前さんに話があるんだよ」


 友達に誘われてカラオケボックスへ遊びに来ていた私は、偶然バイト中の伊達に捕まる。


 無視して帰ろうとするも、「これでもか?」スマホに写っているのは、誠志郎がまな板の上でポーズをとっているところ……? 


「嘘でしょ!?」

「部長、写真をネットに拡散されたくなければバイト終わるまで待ってくれw」

 

 いつもなら信用しないが、誠志郎は料理人舐めたところあるし、頬が腫れていたから伊達に殴られたんだろうと予測は簡単だった。


 まな板は料理人の魂。特に部の備品は先輩達が脈々と受け継いた汗と涙の結晶。絶対に許されることじゃない……。


 頭が真っ白になった。

 いつの間に撮ったの? こんなものが学校側や料理部OBに知られたら私の代で料理部は廃部だよ。


「待っている間、良かったらこれでも食べてくれw」

「これは?」

「ここの賄いだw」


 うわー、なにこの脂ぎったの……。チンジャオロースと肉団子のスパイス煮かな、誠志郎の洗礼された和食精進料理系とは雲泥の差よね……。

 香辛料と油のみ。でも見た目と違いお腹が求めていた。スパイスによる強烈な攻撃的匂いが私を惑わす。


 美味い……。箸が止まらない。そういえば、ここの料理は絶品だって評判だもんね。納得。


 部活をサボってばかりいる伊達に、コツコツと精進を続けているここの料理人を見習って欲しいもの。

 伊達の料理を食べたことはない。日頃の言動が悪いせいで相手にしなかった。部員である以上部長として一度は食べなければいけないけど、多分あの性格じゃ相当不味いのだろう。

 

 パクパク食べていると、伊達が私服に着替えてやってくる。やっぱりタンクトップだ。


「どうだ美味いか?」

「美味い。ここの調理人いい腕前だね」

「俺が作った」

「うそ?」

 

 衝撃の事実。この料理は伊達が作ったって? これはプロの料理人クラスだよ。


 伊達は私に料理インターハイ個人戦に出させろと命令してきた。でも、もう既にメンバーは誠志郎にきまっていると突っぱねると、伊達は提案する。

 

「勝負しろ。三ヶ月間俺の料理食べて相馬より上だと思ったら俺と代われ。駄目ならこの写真は返す」

「でも……」

 

 私が決め兼ねていたら、トドメの一枚を提示。

 私が深夜のラーメン屋で食べてる写真。

 

「お前、あれだけ応援していて、相馬の料理じゃ物足りないんだろ?」

「そんなことない! 誠志郎は繊細な料理が得意なのよ。あんたの乱暴な料理に比べたら天と地の差がある。不味いわよ」

「じゃあ、これを相馬に見せてもいいのか?」


 それだけは……私は伊達の提案に屈した。

 誠志郎の料理を推している私が満足してないなんてありえない。でも、繊細な誠志郎を傷つけたくはないんだ。

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