夏の音を聴かせて

遊野煌

第1話

あの日、夏の海で貴方と最後にしたのは線香花火だった。


まるで夜空に散りばめられた星々が堕ちてきたかのように小さな光りを放ちながら、心に貴方というあかりともり永遠の光となる。


私は抱きしめられた身体をそのままに、貴方の背中をぎゅっと握りしめた。


夏音なつね、愛してた』


私がずっと欲しかった言葉は寄せては返す波の音と共に、貴方の声と共に攫われていく。


来斗らいと……ありがとう』


きちんとさよならを言えない私は、さよならの代わりにそう言葉を吐いた。


貴方は何も言わない。

私も何も言えない。


藍色の空に輝く星々の小さな輝きが、涙で歪んで滲んでいく。貴方への思いが瞳からこぼれて、無数の水玉が砂浜を埋め尽くしていく。



『もう来世は、会わないから……』



震えた唇から吐き出した言葉は、貴方にちゃんと届いただろうか。



もう二度と貴方に恋をしないように。

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