第7話

 僕は何をしていたんだっけ……。

 そんなことを思って辺りを見回した。

 それは白銀が広がる雪の世界だった。


 肝心な時にいつも何かやらかすのは昔から変わらなかった。

 受験の時もそうだった。

 大学受験の日、僕はいつも通りに家を出て会場の大学に向かうところだった。東京の大学だから、会場までの道のりが遠いために前泊することも考えたが、それをしようと思ったときにはすでに大抵のホテルは満室になっていて、碌なホテルが取れなかった。両親はそれでも前泊した方がいいんじゃないかと勧めたが、もうそれならば、朝早くに出た方が良いのではないかと思って、僕は両親の提言を一蹴して当日朝早くに会場に向かうことにした。始発で行けば余裕で着く時間ではあった。受験は午後からだったから。

 でも朝起きれば、予報にはなかった珍しく雪が降っているし、その影響で電車のダイヤが大きく乱れていたし、結局試験開始ぎりぎりに会場について、焦る気持ちがどうしようもなくなってしまったせいで、体調は崩れるしで、まともな受験にならなかった。一度失敗してしまうと一気に足が重くなったように、ドミノ倒しのようにすべての受験が失敗してしまった。

 父を泣かせたのも、すべて僕のせいだった。

 泣いた父の背が思い浮かんで仕方がない。

 何事も準備が足りないし、しても遅いのがよくないところだと自覚していたのに。

 後悔先に立たず、が座右の銘になってしまっていた。

 本当に、どうしようもないことばかり思い出してしまうものだ。


 遠く、遠く、懐かしい匂いがした。

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