第3話みさとの憂うつ
知り合って3ヶ月。
季節は秋だった。
GW後にみさとは串屋でバイトを始めて、それから僕は週4回、串屋に出向いてメールを送りあったり、こうして店でまかないを食べる時や、暇な時に一緒にビールを飲む関係になった。
「また、藤岡さんちで飲みたいですね」
「うん。良いよ」
「いつもあんな本読んでいるんですか?」
僕は読書家で小説が山積みされていたのを見られたのだ。
「ドストエフスキーとかは読みにくいね」
「え?ベッドの下にある本ですよ」
しまった〜、エロ本がバレていたか?
「ま、年頃の男子だから読むよね」
「藤岡さんは、かっこつけないとこがかっこいいです」
「そう?大将、瓶ビールもう一本」
「あいよ!みさとちゃん、今日は藤岡さんと飲んでなさい、暇だから」
「はい」
みさとは時給をもらいながらビールを飲んでいた。
顔のニキビは凄く辛そうだった。おでこに出始めて、頬にも広がっている。
ストレス性のニキビだった。
お局様から嫌がらせを受けているらしい。高卒で入社して、5年目。僕も23歳で就職したので5年目。お互いの先輩の愚痴を言った。
彼女は中川区に住んでいた。最寄り駅は日比野だ。悪友から、日比野の美味しい料理屋の名前を聞いた。
「鍋秀」と言うモツ鍋専門店で要予約だ。
火曜日に予約の電話をして、金曜日の夜にその店に行くことにした。みさとはバイトを休んで。
僕は土曜日は出勤だが、日曜日が休みだった。
金曜日の夜、鍋秀に行くとニラたっぷりのモツ鍋で美味かった。
ビールに会う。
その日は、夜遅かったのでみさとのアパートに泊まった。
犬がいた。チワワとパピヨンのミックス犬。
名前は「ましゅ」だった。男の子。
酔い覚ましに、ましゅの散歩をした。
すると、赤提灯が見えた。「鳥ひろ」と言う居酒屋のだった。土曜日、仕事が終わったら、みさとと一緒に行こうと話しが決まった。
会社には、夜中の残業用に替えの下着と服がロッカーに入っている。
シャワー室も、ベッドもある。
土曜日、少し残業をして、19時にみさとのアパートに着いた。
一緒に鳥ひろに行く。カエルの唐揚げがあった。
注文した。
小骨の多い鶏の唐揚げと似ていた。みさとは食べなかった。
相変わらず、みさとのニキビは酷い。
「お局様は、いくつなの?」
「53歳です」
「そんなん、無視しちゃえ!僕もお局様とよくケンカして、ピンハネされていたよ給料を。僕の残業時間を削り、自分の残業にしていたんだ。悪いやつはいつか破綻するから」
と、スーパードライを飲んで、カエルの唐揚げを食べた。
「来週、若い子皆んなで、上司と相談します。新人もいびっているみたいで」
「馬鹿だね、そいつ」
後日談だがお局様は若い子の反撃を食らい、号泣したらしい。
その頃から、ニキビが治っていった。
23時まで飲んで、カラオケ居酒屋「じゅん」に行く。
ここは、芋焼酎があるから前々から気になっていた店。
カラオケを歌い、ゾロ目の点数なら、商品がもらえた。
イエロー・モンキーの「楽園」を歌い、66点だったのでテッシュペーパーをもらった。
66点なので、音痴な僕はみさとに笑われた。
みさとも歌う。ドリカムの「ラブ・ラブ・ラブ」
71点だったので、僕は笑った。
2人して音痴だった。
帰宅したのは、深夜1時。
みさとはシャワーを浴びて、僕は持ち込んだ会社お泊りセットを持って来たので、みさとの後にシャワーを浴びて、ジャージを履いた。上はまだ、9月だからTシャツ。
みさとはベッドに寝て、僕はソファーで寝た。
みさとは双子で上には種違いのお姉さんがいて、弟がいた。
弟は甘やかされて、高校卒業してもバイトをしていた。就職もせず、パチンコ狂い。だとみさとは教えてくれた。
散々飲んだ後なので、日曜日の昼まで2人は寝ていた。
朝、ましゅの散歩してから、中川区は会社から近いから、お泊まりセットを持ってきて良いかい?とみさとに尋ねると、良いですよ!と返事をもらい、残業の夜は自宅に戻らず、みさとの家で寝泊まりするようになった。
この頃も、仲の良い友達と言う感覚だった。
みさともお兄ちゃんとして見ているようで、みさとがバイトの日は、先にアパートに帰り、風呂に入ってテレビを観ていた。21時半にみさとが戻ると、鳥ひろやじゅんで飲んだ。
10月になると、月の半分は自宅、もう半分はみさとの家と生活スタイルが変わっていった。
夜勤の日は、夜中に仕事が終わるのでさすがにみさとを起こす訳にはいかないので、会社のタクシーチケットで、自宅までタクシーで帰った。
ある日の晩、僕は決意した。
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