夏、ホルンの響き

さくら

初めての楽器

「ごめんね、あと残りの楽器、ホルンしかないんだ。ホルンでも良い?」 

私、河野真美は中学生になったら吹奏楽部に入ってトランペットを吹くのが夢だった。なのに、何でホルンをやることになったのか、それを説明しよう。

この学校、勇剛中学校では毎年仮入部期間があり、その間に新入生は部活を決めるという制度がある。

ここ、吹奏楽部では仮入部期間に楽器体験をし、仮入部が終わったら楽器ぎめをすることになっているそうだ。

体験する楽器は1年生が選ぶのだが、私のやりたかったトランペットは人気が高く、じゃんけんで決めたのだが一人負けだった。そうこうしているうちに他の楽器は決まっていき、私は残っているホルンをやることになったのだ。

しかし、ホルンパートに先輩はいない。去年みんな辞めてしまったらしい。

断れるはずもなく、せめてもの反抗として小さな声で、「はい、」といった。

「ありがとう!なかなかやりたがる人いなくて困ってたんだ!ホルンいっぱいあるから好きなの選んでいいよ!」どうやらこの先輩は私にホルンをやらせたいらしい。もし、ホルンになったらどうしよう。

そんな心配をよそに先輩はどんどん歩いていく。遅れないようについていくとそこにあった景色に私の考えは一変した

そこにあったのは窓際に置かれて太陽の光が反射し光り輝いている"ホルン"だった

いくらでも見ていられる気がした

どれくらいたっただろうか、気がつくと先輩がホルンを吹ける状態にして私に差し出そうとしていた

「見惚れてた?吹いてみて、きっと惚れるよ」先輩に言われるがまま私はホルンをもち、口をつけた。まるで恋人と口吻をしているような気分。

このときにはもうとっくに私はホルンに惚れていた

息を入れる。思っていたよりスムーズに息が流れた。

「ポォー」音が出た。はたから見ると汚く、こもった音。でも私がホルンに運命を感じるのには十分だった

いつまでも吹いていたい、そう感じた。

「どう?ホルン、好きになった?」そんなの当たり前だろ、内心そう思いながらも、ホルンをやりたいという気持ちが強まってきた。

「私、ホルンやりたいです。この子と一緒に頑張りたいです」

この時から私はホルンに酔っていたのかもしれない

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