第2話 後輩には慕われたい
「はぁ…」
ため息をつきながらスマホに届いているメールの数々を適当に読む。
目が疲れていて字がぼやけて見える。
頭が回らない。
それでも何とかして内容を理解する。
『楠木さん、明日仕事変われますか?』
という一通のメールに目が留まる。
メールとセットになんとも可愛らしいスタンプが送られていた。
この子は後輩の子で、AIの手を借りても育児が大変らしいからいつもこういうときは変わりに仕事をしてあげている。
前までは人の役に立てることはとても嬉しいと思えていた。
今は特になんとも思えなくなってしまった。
重たい瞼を何とか持ち上げて返信をする。
『いいですよ!大変なときはどんどん言ってね!
喜んで引き受けるから!』
本心とは真逆のことを送信する。
可愛い後輩にはよく思われたい。慕われたい。
そんな欲望が本心と逆のことを送ってしまう原因だ。
自分でも嫌になる。
最寄りの駅まで時間があるので、少しだけ仮眠をとる。
大体1時間くらい。
スマホの電源を切り、俯いた体制をとって寝た。
本当は仰向けのような体制が一番良く寝られるのだが、そんなことしたら永遠に眠ってしまいそうなので俯いている。
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