付き合うとかはまた別じゃん?

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第1話 愛なき合言葉

「なんで彼女と別れたの?」

ベッドに座った奈津子の問いに脱衣所で頭を拭きながら答える。

「恋愛なんて面倒臭い。男にはなるべく多くの子孫を残したいという本能がある。

たった一人の女に縛られて、色んな女を知らずに人生を終えるんじゃ勿体無い。

折角まだ若いんだし、遊んでたいじゃん。だから、別れた。」

「へぇ(笑)よく2年も続いたね。私なんて2年続いたことないよ(笑)彼氏もセフレも大体1ヶ月続けばいい方。」

「ふーん……そうなんだ。」

服を着た後、またベッドに転がり込む。


「もう一回いい?(笑)」「えー(笑)どうしよっかな。」

恥じらう奈津子の顔を優しく撫でる。

「いいじゃーん(笑)」ゆっくりと奈津子の服に手を入れる。

寂れたホテルの一室でお互いの身体を貪り合う。

「私のことは〝遊び〟じゃないでしょ?

いつも沢山好きって言ってくれるじゃん。」

潤んだ瞳で俺を見つめる奈津子。

「何言ってんだ?好きじゃなかったらこんなことしないだろ?かわいいなぁ。好きだよ奈津子。好き、好き…。」

「じゃあ付き合おうよ〜。私達もう何度も会ってるでしょ?」

「あぁ、そうだな…。今の仕事が落ち着いたら……かな?」

よくもまぁこんなにベラベラと嘘八百の言葉が出てくるのか自分でも不思議である。

奈津子は俺の幼馴染であり、いわゆる〝身体だけの関係〟だ。


大学時代に付き合っていた元カノと別れ、俺はIT企業に就職した。

周りは男だらけの職場で、女との出会いもなく、毎日仕事漬けの日々。

____「ヤりたい……!」

三大欲求の一つである「性欲」。

男たるもの、満たさなければどんどん溜まっていく一方。

しかし風○に行く金はないし、マッチングアプリは美人局や性病が怖い。

悶々としていた俺は、幼馴染の奈津子に連絡することにした。


「久しぶりー笑 会わね?笑」

上手いこと口車に乗せ呼び出し、まんまと罠にかかった奈津子。

付き合ってもいない男にまんまと股を開いてくれた。

〝都合のいい女〟を見つけてきたという訳だ。

奈津子の他にも女友達はいるが、アイツはガードが固そうなので

とりあえず俺はこいつで妥協することにした。


対戦後、疲れて寝てしまう俺に奈津子が不満を漏らす。

「そうやって、終わったらすぐ寝て私は用済み?本当に私のこと好き…?」

「あぁ?ごちゃごちゃ言うな。仕方ないだろ。男は本能的にこうなるんだよ。文句があるならさっさと帰れ。」

俺の突き放すような態度に呆れて溜め息をつきながら奈津子は身支度をし、帰って行く。

 ごめんな、奈津子。でも、騙されてくれてありがとう。

こんな俺から離れられないお前にもちょっとは責任があるだろう?


女は可哀想だ。身体だけ弄ばれてもそれに気が付かずに捨てられるのだから。


「おーい笑 ひま?笑笑」

寝ぼけ眼で送るメッセージはすぐに既読がついた。

「分かったよ。行けばいいんでしょ笑」

さすが話の早い女だ。用意を済ませ、外に出向く。

毎回毎回、同じことの繰り返し。

欲求が溜まれば呼び出し、終わったら帰る。しかし今回は違った。

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