第20話

彼は桐谷先生と同じくらい生徒から人気で、またそれ以上に危険なにおいがした。


彼の担当する英語はスパルタなことで有名で、中学生の学習内容を超えている気もするけれど、誰も文句を言えなかった。


ただ一人、私を除いては。




「明日小テストするから勉強しとけよー」



内心、全員が抵抗したいと思っただろう。

でも、彼の授業でそんな愚かなことをすれば、自分の身が危うくなる。そうやって毎回保身に走る生徒。


私といえば、チラチラ視線を感じて、小さくため息をついた。


クラスのみんなは、蓮見先生と唯一対等に接することが出来る私に、神頼みのように視線ですがり付いてくる。


例えば、今日習ったばかりの中学生にしては一コマでは多すぎる範囲の応用を平気で小テストで出したりする。

進学校でもない私立の学校にしては、少し横暴なことも平気で行う。


それを私が提言する。

という図式が定番になっていた。



『…先生』



また一つ小さくため息をついて、待ってましたと言わんばかりの彼を見た。

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