第3話:やっぱりウザいんですけど?


「はぁ~、昨日はさんざんな目にあった……」


「おう、雄太おはよ~。って、なに疲れた顔してんだよ?」



 教室の机で突っ伏していると、ケントがやってきた。

 ケント・マッケンジー。

 こいつとは中学生からの付き合いで、オーストラリアから転校してきたとか。

 名前からわかるように、茶髪のハーフ。

 確か父親がオーストラリア人で母親が日本人だ。

 サッカーが得意で僕と違ってそこそこモテる。


「いや、如月きさらぎさんに告白して玉砕した後にあの三人に捕まってさんざんな目にあったんだよ…… こっちは失恋して放っておいて欲しいのに……」


「三人って、リンとフランソワーズとエンデルシアの三大女神か?」


「なにその三大女神って??」


 ケントは意外そうな顔をして僕に言う。


「お前、幼馴染のポジションだからって余裕だな? あの三人は男子の間でも人気があって告白しても玉砕者が多発している高嶺の花、俺だってもっとお近づきになりたいほどなんだぞ??」


「ケントはモテるからいいじゃんか~」


「いや、しかしあの三大女神にお付き合いを申し込む勇気なんてないぞ?」


 ケントはそう言いながら前の席に座る。

 そして完全に僕の方に向いて語りだす。


 やれリンの東洋の神秘的なところや、フランソワーズのお人形みたいなところや、アクティブで男女隔たり無しに接するエンデルシアの気さくさがいいだとか。

 でも幼馴染の僕は知っている。

 あの三人、みんなの前ではネコをかぶっている。


 実際はリンはものすごく強引で人のいう事なんか聞かない。

 フランソワーズだってものすごいマイペースだから話がかみ合わないことも多々あるし。

 エンデルシアなんかいまだに僕の事を小さなころから同じ扱いでスキンシップが強すぎてこっちが困る。


 確かに根はいいやつばかりだけど、僕はいっつもあの三人に振り回されている。



「あんなののどこがいいんだか……」


「雄太お前なぁ~。お、そうだ、だったらお前が協力してくれよ。俺はあの三人ともっとお近づきになりたいからな!」


 満面の笑みでそういうケント。

 僕は、「はいはい」と気の無い返事をすると……



「雄太! 俺にも!!」


「あ、僕も!!」


「俺にも俺にも!!」



 途端に周りにいる男連中が寄ってくる。

 そしてケント同様にあの三人とお近づきになりたいとか。



「ああぁ、もうっ! 分かったから!! お前たちもウザすぎ!! 少しは僕をねぎらえッ!!」



 そう抗議する僕の声はケントはじめ男子たちの喜びの声にかき消されるのだった。


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