チーズフォンデュ

私はチーズが大好きだ。口に入れた瞬間、心から幸せを感じる。お酒のつまみももちろん、チーズ。

正直、出っ歯な自分が、ネズミのようにチーズを好むなんて思われるのはちょっと気が引けるけど、それでも好きなんだ。

そんな私が、結婚して初めて「チーズフォンデュ」というものに出会った。目の前に現れたその料理は、まるで映画の中に登場するようなオシャレで魅力的なものだった。こんな美味しそうなもの、見たこともなかった。

チーズがとろけたフライパンから、串でブロッコリーやパン、ウィンナーを取って、熱々のチーズに浸す。もう、その瞬間からワクワクが止まらない。

ひと口食べると、口の中でチーズがまろやかに広がり、絶妙に絡み合う。その瞬間、私は完全にチーズフォンデュの虜になった。幸福感があふれ出し、思わず「うわぁ!」と声が漏れる。こんなに美味しい食べ物、今までの人生で出会ったことがなかった。今まで何を食べてきたんだろう、なんて思うほどだ。

でも、ちょっとだけ悔しい気もする。子供の頃、母に「どうしてチーズフォンデュを作ってくれなかったんだろう?」とは言えない。あんなオシャレな料理、母が知っていたわけがない。仮に知っていたとしても、末っ子の私の手には届かなかっただろう。実家の食卓では、絶対に見かけることはなかっただろうな。


そんな私の好きな食べ物、今では迷わずこう答える。


「チーズフォンデュ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る