生物学的 恋愛論

朔来 雨

第1話 真理絵の生態

黒岩真理絵は高架橋の下に居た。

「外が好きなの?」

ベルトの金具を外しながら男が聞いた。


「音が好きなの」

「音?」


フッ、と真理絵は妖しく微笑み

「だって大きな声を出しても平気でしょ?」

と、男の首に両手をまわしキスをした。


「いやらしいな」

「いやらしいの、嫌い?」

「嫌いな訳ないじゃん」

「よかった・・・・」



真理絵の上目遣いに、男は堪らないといった様子で彼女を後ろ向きにさせ、スカートをたくしあげる。


遠くかりキィィーッ、ガタンガタンッ、と

いう音が近づいてくる。

電車が真上に到達するのと同時に、真理絵は

背中を仰け反り、歓喜の声をあげた。

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