第6話

2、魔女と天使


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女子更衣室の中は甘ったるい香水の匂いと、読みかけのファッション誌、ヘアアイロン、くだらないお喋りで充満している。




「ちょっと聞いてよぉ~、彼ったら家まで待てなくて、車の中でいきなりぃ~」



「えー!それはないわー!ガツガツ迫られると引いちゃうよねー!その点、うちは草食だからー」



「え~、でも、酔うと野獣化しちゃうんでしょぉー?」



草食なのに野獣?

なるほど、噂のロールキャベル系なんだ?



隣で繰り広げられる会話に、ふんふん、心の中で相槌を打ちながら、タイトスカートのファスナーを下ろした。



「ねぇ、麻生さんは」



不意に話を振られ顔を向けると、声を掛けてきた子のもう一つ向こうにいる子が首を振った。



「ダメダメ、夏南(かな)ちゃんはこの手の会話が苦手だから!ごめんね~?お疲れ!」



にっこりと笑いながらパッと広げた手の平をこちらに向けられる。

それと同じようにして、わたしも笑顔を返した。



「お疲れ様、お先に失礼しますー」



金曜日、就業後の女子更衣室はちょっぴり浮ついている。



笑顔を顔に貼り付けたまま軽く会釈を繰り返し、お喋りをする同僚の間を縫うようにして更衣室の出入り口を目指した。

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