第6話
2、魔女と天使
----------------------------------
女子更衣室の中は甘ったるい香水の匂いと、読みかけのファッション誌、ヘアアイロン、くだらないお喋りで充満している。
「ちょっと聞いてよぉ~、彼ったら家まで待てなくて、車の中でいきなりぃ~」
「えー!それはないわー!ガツガツ迫られると引いちゃうよねー!その点、うちは草食だからー」
「え~、でも、酔うと野獣化しちゃうんでしょぉー?」
草食なのに野獣?
なるほど、噂のロールキャベル系なんだ?
隣で繰り広げられる会話に、ふんふん、心の中で相槌を打ちながら、タイトスカートのファスナーを下ろした。
「ねぇ、麻生さんは」
不意に話を振られ顔を向けると、声を掛けてきた子のもう一つ向こうにいる子が首を振った。
「ダメダメ、夏南(かな)ちゃんはこの手の会話が苦手だから!ごめんね~?お疲れ!」
にっこりと笑いながらパッと広げた手の平をこちらに向けられる。
それと同じようにして、わたしも笑顔を返した。
「お疲れ様、お先に失礼しますー」
金曜日、就業後の女子更衣室はちょっぴり浮ついている。
笑顔を顔に貼り付けたまま軽く会釈を繰り返し、お喋りをする同僚の間を縫うようにして更衣室の出入り口を目指した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます