第9話
「ごめーん、あい。昨日、大丈夫だった?」
そう、そう、そうだ。
私は昨日の夜、同期である杏子と飲みに行ったんだ。珍しく同じ時間帯に仕事が終わって、ちょっと軽く1杯行きますか、なんて、親父のようなノリで居酒屋に行ったところまで覚えてる。
私も杏子もお酒が好きな方で、同期という気兼ねの無さから、仕事の愚痴なんかを言い合って乾杯を繰り返したところも覚えてる。何となく。
それから、しつこいくらいに杏子のスマホが鳴ってて……、
「彼と約束してたの、すっかり忘れちゃっててさ」
「あれ、彼氏からだったんだ。怒ってたでしょ?」
「うん。まぁ、こっちは何とかなったけど、あいを置いて帰っちゃったことが心配で」
「あぁ……うん、大丈夫だったよ」
「本当?」
「うんうん、ちゃんと朝起きたら家に居たから」
知らない男と一緒にね。
でも、そういうわけだったのか。それで、杏子が居なくなって寂しくなった私は、見ず知らずの男の子にちょっかいを掛けて、持ち帰っちゃったの……か?
あぁ、でもその辺の記憶は全くないよ。
というか、朝のことを思い出したら、頭痛が復活してきそうだ。
あの子、ちゃんと家に帰ったよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます