魔女ニーアベルの友達が少ない理由

水の月 そらまめ

第1話 一目惚れをした



 昔、おばあちゃんは言った。


「異形の者の言葉を聞いてはいけないよ。特にこの辺りに住む魔女には気をつけること。このペンダントは肌身離さず持っておきなさいね」


 そう言って、あるペンダントを私にくれた。そう言えば、お母さんもつけていた気がする。



 それから数年後。

 私は魔女に出会った。

 暁月夜あかつきづくよの頃、薄い金色の髪をなびかせた女性が、ホウキに乗りながら降りて来る。


「あら」


 魔女は私に気づくと少し驚く。

 そして、獲物を見るような目で近づいて来た。


 綺麗な人……。

 私はその星を宿したような瞳に吸い寄せられる。

 彼女は間違いなく魔女だ。けれど、その美しい容姿に引かれてしまう。魔女は魅惑の魔法を使うというけど、それのせいだろうか。


「まじょ……?」


 私は逃げ出していく家畜達を一瞥して、銃を握りしめる。

 こんな銃じゃ異形はの者は殺せない。だから、魔女も殺せない。

 彼女はふわりと地面に舞い降りた。


「私を魔女であると知りながら、逃げないなんていい度胸ね。その銃で私を殺せるとでも思っているの?」


 彼女は挑発するような笑みを浮かべ、近づいてくる。

 私は頭を横に振った。


「そういうわけじゃないけど、私はあの子達を守らないといけないの」


 魔女は訝しんだ。


「狼だと思うのよね。銃はそのため」


「ふーん? 貴方の家畜?」


「そうなの。最近毎日一匹ずつ消えていくから、今日は絶対に守ろうと思ってずっと待ってる」


 魔女は夜月やげつを見上げると、ニコリと笑った。


「食べられてしまったのかもしれないわね。……眠いでしょう? 貴方の代わりに、魔女ニーアベルがあの家畜達を守ってあげましょうか」


「うんん、私は自分の力で守るわ。貴方の助けは必要ない。……魔女にお願い事をしたら、対価が怖いもの。サラッと約束を結ぼうとするなんて、やっぱりニーアベルは魔女なのね」


「そういう所はちゃんとしてるのね……。でも危ないわ、また一週間後にいらっしゃい。一匹しか減ってないと思うから」


 魔女ニーアベルが浮かべた微笑みの美しさに、私の胸がトクンと跳ね上がる。

 なんて綺麗な人……。


 私は微笑を浮かべる。


「イヤよ」



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