天魔くん‼︎ 〜往昔の洞へ〜　ー私立サクラメント学院中等部ー

@naokisatomi

「友野くん、またこっち見てる」

　早希ちゃんがお茶を片手にあたしにささやいた。

「気のせいじゃない？」

「じゃないよー。絶対、莉央ちゃんのこと見てる」

　あたしはそっぽを向いて割れたクッキーをかじった。意地でも友野奏介の方を見ない。

　本校がイギリスにあるというこのサクラメント学院は中休みがティータイムになっている。ティータイムと言っても家から持ってきたお菓子を食べて水筒のお茶を飲むだけだ。最初は変わった習慣だなと思ったけど慣れたら無いと物足りない。友だちと一緒に甘いものをつまむ時間はリフレッシュするのにちょうどいいのだ。それなのに話題は友野奏介。勘弁して欲しい。

「かっこいいね、友野くん」

「そう？」

　あたしは興味ないふりをしている。本当は気にかかっているけど、それは早希ちゃんが思っていそうなことじゃない。奏介の方もきっとそうだ。