第3話 LINEで

家に帰ると、心地よい疲れが体を包んでいた。シャワーを浴びて、ようやく落ち着いた気持ちでリビングのソファに腰掛ける。無意識にスマホを手に取って画面を見ると、華乃から不在着信が入っていたことに気づく。


「どうしたんだろう……?」


僕は心の中で少し不安になりながらも、すぐにLINEを開き、華乃にメッセージを送る。


「今さっき帰ったばかりだよ。さっき不在着信あったけど、何かあった?」


送信ボタンを押した瞬間、すぐに華乃から返信が届く。


「ごめんね、さっきは急に電話してしまって……ちょっとだけ、輝人の声が聞きたくなって。」


そのメッセージを読んだ瞬間、胸が温かくなった。彼女がそう思ってくれていることが、ただ嬉しくて仕方がなかった。


「そんなの気にしなくていいよ。俺も、華乃の声が聞きたかったから。」


すぐに返すと、少し間があった後に、華乃からまたメッセージが届いた。


「ありがとう……。ねえ、もう少しだけお話していい?」


その言葉に、僕は少しだけ迷った。今日は色々なことがあって、心が少し疲れていたけれど、華乃の声を聞くと、また元気が湧いてくるような気がした。


「もちろん、全然大丈夫だよ。」


送信した直後、すぐに華乃からの返信が来る。


「うれしい、ありがとう。」


その言葉に、心の中で小さく「会いたいな」と呟きながら、スマホを握り直した。今度は、もう少しだけでも、彼女と一緒にいられる気がした。華乃からのLINEで、僕の心は少し落ち着きを取り戻した。彼女が言ってくれた言葉が本心だと確認できたことで、ようやく自分の気持ちも整理できた気がした。けれど、まだ心の中には彼女への想いが溢れていて、どうしてもその気持ちを伝えたくなった。


「華乃、今度は俺から言いたいことがある。」


スマホの画面を見つめながら、僕はその言葉を送る。すぐに華乃から返信が来る。


「え、何? 私ももっと輝人の気持ちが知りたい。」


その返事を見て、少し緊張しながらも、心の中で覚悟を決めた。


「俺も華乃のことが好きだよ。今まで言わなかったけど、本当に大切に思ってる。」


送信ボタンを押した瞬間、手のひらに汗を感じる。それでも、この言葉を伝えなければと思った。


しばらくして、華乃からの返信が届く。


「輝人…私も、ずっとそう思ってた。」


その言葉に、僕の心は一気に温かくなった。どこかで、彼女がそう思ってくれていると感じてはいたけれど、言葉として確かめることで、安心した気持ちが広がった。


「これからも、ずっと一緒にいたい。」


「うん、私も。」


その一言で、僕たちの気持ちはもう迷いなく重なった。未来に向かって歩み出す準備が整った気がした。

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