第3話
同じものを飲めば、隣にいる彼の心が読めるような気がした。
初対面なのに...無性に「知りたい」と私を思わせたものは、彼の瞳。
静かでじっと動かない黒い瞳には、憂いが含まれていて薄暗いBARの中に溶け込んでいた。
どこか寂しげて、どこか儚げで、私は大胆にも彼に頬に手を添えると唇に自分の唇を重ねていた。
キスされて、気がつく恋もあるだろう。
けれど、私は自分からキスをして恋に堕ちた。
そしてもっと彼を好きになる、そう確信した第三印象。
運命と呼ぶべきか、宿命と言うべきか、人生には避けられない道があると思う。
透明な糸を巧みに張り巡らせた蜘蛛の巣に囚われるように、私は必然的に嵌ってしまった。
でも、所詮、BARで出会った男。
もう一度、偶然がなければ出会えない男だと思っていた。
そんな彼が、私の務める会社に転勤してきたのが、あの夜から2週間後。
それって、もう奇跡じゃない?
いや、運命よね?
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