第3話 オレにとっていつもの通学路も妹にとってはピクニックになる

「部活の準備してくるね!」

「「「いってらっしゃーい」」」


 英里奈えりなはオレと連絡先の交換をして自宅へ向かった。お姉ちゃんが帰った途端に勇輝はおとなしくなる。


 オレは姫奈ひめなと勇輝の2人を相手に、小学校の授業や姫奈ひめなのクラスの友達の話題で会話する。オレの小学校の頃の先生の話もしてみる。こんな話をするのは珍しくて楽しい。



  ※



「お待たせ!」

「「「おかえりなさーい」」」

「ただいまー!」


 美少女が変身して戻ってきた。女子高の制服に着替えて、部活用の大きなバッグを持ってる。


「お姉ちゃんの制服かわいい!」

姫奈ひめなちゃん、ありがとう」


 さっきまでの普段着と全く違って凄く女子高生らしい。


 スクールカーストが高そうな制服の着崩し方をしてる。共学ならめちゃくちゃモテてるはずだ。


 オレが見惚みとれてると英里奈えりなが聞いてくる。

「どうかした?」

「すごくJKだなって」

「そりゃJKだもん! 変なの」


「制服でお姉ちゃんからJKに変身したみたい」


 勇輝が口を挟む。

「お姉ちゃん、そういうとこあるよな」

「勇輝までそんなこと言って! さぁ、でかけましょ」



  ※



 土曜の午前中で、駅は人もまばらだ。下りの電車へ乗り、オレ、姫奈ひめな、勇輝、英里奈えりなの順に座る。


 姫奈ひめなが電車の窓から楽しそうに外を眺めてる。

「本当の遠足みたい!」


 オレにとってただの通学路も、姫奈ひめなにとっては特別なのだ。


 オレは姫奈ひめなと勇輝の頭越しで英里奈えりなに感謝する。

「ありがとう」

「ん?」

姫奈ひめなが楽しそうにしてる」

「良かった」



  ※



「「わーいバスだー」」


 2駅で電車から降りバスに乗る。姫奈ひめなと勇輝が喜んでる。


 この停留所が始発なのでバスは空いてて、1番後ろにみんなで座る。姫奈ひめなと勇輝が窓側に座りたがるので、オレと英里奈えりなが隣り合う。彼女からいい匂いがする。


 バスが動き出して、駅前の平らな道からすぐ坂道に入る。高校の停留所まで15分ほどだ。


 バスの窓から高校の校舎やグラウンドが見えてくる。

「ほら、あそこがオレの高校」


 英里奈えりな姫奈ひめなに聞く。

「お兄ちゃんの学校来たことあるの?」

「ううん、はじめて!」


 停留所で降りて公園の入り口まで歩く。

「公園の中に売店や自販機もあるから」

「いい公園ね。あとは任せて」


 英里奈えりなが2人に言う。

「お兄ちゃんに行ってらっしゃいしましょ」


「「「行ってらっしゃーい!」」」


「行ってきまーす」


 3人が手を振ってくれる。お父さんへ手を振るお母さんと子供たち、みたいで気恥ずかしい。

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