第2話成績
あちゃーとわたしは、塾で受けた模試の結果を見て心の中で悲鳴を上げた。全教科平均点以下。これじゃあ、どこの高校も受からないよ。隣の明宏は冷静な顔で模試の用紙を見つめている。
塾の帰りに二人で図書館に行く事が習慣になった。
模試の結果をお互いに見せあった。え?レベルが違った。明宏の成績ならトップの進学校に受かる成績だった。
「頭良いんだね。十勝君。」
わたしは、隣にいる明宏に疲弊しながら言った。
「そんな事ないよ。」
と全く嫌味の無い答えが返ってきた。
どこかで、明宏と同じ高校に進学出来たらなんて甘い考えを持っていたわたしはバカだったと反省した。もっと早くから勉強しとくんだったな。
「俺は、今井さんと同じ高校に行きたいな。」
と明宏は、何気なく言ってきた。
何故が嬉しくてドキドキした。
「と、十勝君、もったいないよ、わたしの成績じゃあ、一番、頭の悪い高校も受かるか分からないんだよ。」
と動揺しながらわたしは優しく微笑む明宏に言った。
「それじゃあ、今井さんの好きな教科って何?」
と明宏はわたしの模試の用紙を見ながら聞いてきた。
「うーん、国語と社会。」
比較的、暗記物は得意なのだ。
「じゃあ、国語と社会は頑張って、不得意そうな数学と英語は俺が教えるから。」
明宏は、優しい。こんな勉強の出来ない女に。ボランティア?もしかしてわたしの事好き?なんてある訳ないか。クーラーの良く効いた図書館の午後はわたしを優しく包み上げてくれた。
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