第51話

無意味とわかると、何の力もわいてこなかった。


そうなると、ゾワゾワ覆う感覚に身をゆだねるしかすべはなく、ほほも、次第に体も熱くなるのが止まらなかった。



「かわいい梓……今日は楽しもうね」


彼はそのまま首に唇をそわせて、ぐっと吸った。


思わず声をあげると、ハハハハ! と彼が高笑いをする。


握られていた指が離され、彼の手も私の身体を上から下へ這っていく。



声が出そうになって口を腕で抑えると、その腕を掴まれて、唇が重なる。


舌を探られ、彼の唇と私の唇の隙間から、互いの吐息が何度も漏れる。


嫌なのに、何も抵抗できない。


もう、全て手放して、彼に任せてしまいたい。



私は瞼を閉じた。



世界は暗転した。

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