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音のした方へゆっくりと近付く。



本棚が等間隔に並ぶ、この静かな空間にいる私以外の誰か。



まるで何かに惹きつけられるように足を進めた。










見えたのは床に散らばる何冊もの本と、座り込んでいる人影。


それは



「……いたた」




一瞬迷ってしまうほど中性的な美少年だった。



ミルクティー色のふわふわとした髪と、薄茶色の瞳、睫毛の長さは羨ましいくらい。


こんなにミルクティー色の似合う人、初めて見た……




すると、目の前の美少年は容姿に合わない不機嫌そうな声を出した。





「なに?じっと人のこと見つめて」



「ご、ごめんなさい。……大丈夫?」


少し高めのその声に慌てて返事をすると、彼は立ち上がりぐっと伸びをして、



「大丈夫に見えるわけ?暇なら本拾うの手伝ってよ」



私は取り敢えず足元の本を拾うことにした。

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