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「てめぇっ!!!」
今にも全面的な喧嘩が始まってしまいそうな空気に思わず溜息が零れる。
全く、どうして先に手が出るんだ。
「やめな」
殺気だった空気の中、やけに私の声が響いた。
「「「「メイさんっ!!」」」」
なんでだ、信じられねぇ
そう口々に不満を漏らすメンバーを一人一人をゆっくり見つめて口を開いた。
「みんなの気持ちもよく分かる。でも真っ先に手を出すのは青龍じゃない。でしょ?」
優也達のいない今、大きな喧嘩は避けたい。
目の前の彼等……黒月は結構やばそうだし。
たった五人しかいないのにこの威圧感はなんだろう。
……それに、不気味なほど楽しそうなんだよね
緊張感が全く感じられない。
無駄な怪我人は増やしたくないしな……。
そんな私は取り敢えず青龍の怒りを冷ますことを優先する。
「だからって、仲間を傷付けられたのに黙ってろって言うんですか!?」
「違う。私だって悔しいよ。殴り返したいよ。でも今喧嘩して他に怪我人増えたら誰が悲しむの?
皆が大好きな優也達でしょ?」
「……っ!」
「分かったなら皆手ぇ開いて。取り敢えず救護班はショウの手当てね、あとリキは葵さんに連絡」
「「……はいっ!」」
少し冷静になった皆を見てから頷き、黒月と向き合うと、面白そうに笑う漆黒の彼と目が合った。
あぁ、なんだかすごく面倒臭そうだな……
「君、面白いね」
「……」
スッと目を細める彼は何処か冷たく、でも本当に楽しそうに笑っていた。
「姫がいるなんて聞いた時は笑っちゃったけど、こんな女の子だったなんてなー。その辺の男よりよっぽど頭回るんだね。すっごい面白い」
「……はぁ、それはどうも」
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