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ーーーあ、やばい





頭では分かっているのに、どうしても目をそらせない。



彼の真っ黒な瞳。

髪と同じ漆黒の瞳に、濡れたようなその黒に

私は捕まってしまったんだ。





「へぇ、綺麗な姫だね」




どれくらい目が合っていたのだろう。


先に動いたのは彼だった。

目を合わせたまま、ニコリと笑う彼は間違い無く出会った中で一番綺麗な男。




その視線と言葉に青龍のメンバーが慌てて私の方を見る。



「「「「「メイさん……!」」」」」



見つかってしまった……





でもある意味都合が良いかもしれない。

ここまで来たら私は下に降りたって変わらないだろうから。



階段をゆっくりと降りる私に、満足そうに微笑む彼と目を見開いて慌てる青龍。




「ちょっ!危険ですから戻ってください!」

「メイさんっ!」




心配してくれる声に胸が暖かくなる。

やっぱり青龍が好きだ。




「ごめんみんな、でも大丈夫だから」




安心させようと笑うと、皆は戸惑いながらも曖昧に頷いてくれた。

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