第2話 待合室にて
階段を登り終えると一人の看護師らしき格好をした人がこちらに笑顔で挨拶をしてきた。「アルバイトの方ですね?こちらへどうぞ」と言って私を奥の待合室まで丁重に案内してくれた。そこには何人も座れるであろう大きなソファーが中央に配置されていた。そして、私と同じくらいの男女5人がそれぞれ離れ離れにソファーを囲むように位置された椅子に座っていた。彼らは待合室に入ってきた私に何ら興味を示すことはなく、ただ自分達のスマホの画面に集中していた。待合室に醸し出される異様な空気感にどこか怖気づくばかりであった。私は看護師らしき人に指示された通り空いていた椅子に座った。椅子に座りながら湧いてくるその室内の気まずさに耐えきれず、私はおもむろにポケットからスマホを取り出し、周りの人と同じようにその画面をただ眺めていた。しばらくすると、待合室に3人組の老人が一緒になって入ってきた。彼らは私達若者を品定めするかのようにジロジロ見ながら待合室中央にあった大きなソファーに腰を掛けた。彼らはソファーに座った後も私達を凝視しながら、なにやら話し合っているようだった。続けて、また2人の老人が待合室に入ってきた。彼ら2人も先程の老人と同様、ソファーに座ると、奥から看護師らしき人が再び現れ私達に屈託のない笑顔でこう告げるのであった。「では時間になりました。交渉の時間開始でございます。ご契約内容が決まりましたら、ペアになって私にその内容を伝えに来てください。では皆様の良き縁を期待しております。」この掛け声と同時に若者老人両者それぞれ立ち上がり、互いが互いに歩み寄るかのように近づき何かを話し合い出したのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます