前半戦
VS 横浜マーレ
VS 横浜マーレ - 前半
樺太県ほどではないとはいえ、横浜市に吹く風も僕の耳や鼻をこれでもかというほど痛めつけてくる。
都市部から少し外れた、工業地帯の一角に旭日シュターディオンは位置している。
銀色に輝くスタジアムの内部は横浜マーレのマリンブルーを基調としたデザインとなっており、比較的内陸部に位置していながら大海原を感じさせてくれる。スタジアムにはマリンブルーとスマルトという二つの青が混ざり合う、海の様々な側面のような美しい光景が広がっていた。
やがてスタジアム内には音楽が鳴り響き、ウォーミングアップのため、両チームの選手が入場してくる。応援も彼らの登場と共によりスタジアムを轟かせ、戦いの空気感が空間を支配した。
試合前のロッカールームは、横浜の冬を忘れさせるほどの熱を帯びており、優勝を狙うチームの熱さを感じさせてくる。
「初戦、新しい選手も合流して、新しい真岡シュピーゲルとしてやってきました。優勝の為にも、この一戦から完全勝利をつかみ取ろう」
キャプテン村瀬選手の言葉に、選手たちはおう、という声に拍手という形で答えた。
やがて審判団に続いて青と白の選手が入場する。
開幕戦というのもあり、スタジアム内を異様なほどの高揚感が支配していた。まるでローマの円形闘技場。古代の人々の血が、今の我々にも生きている。
本日開幕の試合はN1のものが五試合。その中でもひときわ注目を集めているのがこの一戦だ。
Nリーガの歴史の中で黄金時代を築いた横浜マーレと、北方の新星として昇格から力をつけ続けてきた真岡シュピーゲル。
新旧強豪同士のぶつかりあいは、先週開幕戦を終えたN2以下のサポーターの眼を奪い去る。
選手たちは握手を交わし、それぞれのポジションにつく。審判の長いホイッスル。以後37試合の開幕が告げられた。
真岡シュピーゲルは3-4-2-1、キーパーを攻撃の起点としながら長いボールを利用して一気にゴールまで迫る。対する横浜マーレの戦い方は4-4-2。
この戦い方はサイドチェンジをされると守備が難しくなる。そのため、真岡シュピーゲルの素早い攻撃をいかにして止めるのかが横浜マーレに課せられた課題となった。
前半、やはり横浜マーレは積極的にプレスをかけ、真岡シュピーゲルの長所を封じ込もうと試みる。しかしながら真岡シュピーゲルもそう簡単に諦めはしない。前半二五分のコーナーキック。青と白の交じりあうゴール前。
ミッドフィルダーの鎌田選手が蹴ったボールに、ディフェンスの三浦選手が反応し、ヘディングでボールをゴール内へ押し込んだ。これにより真岡シュピーゲルは先制。横浜マーレとしては、最初からキーパーが狙いにくい位置に蹴られたボールに、対応しに行く選手が現れなかったのがビハインドの原因だ。
前半は真岡シュピーゲルがリードを維持したまま終了。ハーフタイムのパフォーマンスが終わると、後半が始まる。
真岡シュピーゲルは、コルテス監督が村瀬選手を呼び出して何らかの指示を出し、継続して点を取りに行く姿勢に決定した。このリーガでは勝ち点が並んだ場合、得失点差によって順位の上下が決まる。
つまり優勝チームと同じだけ勝利を重ねたとしても、失点を繰り返してしまえば勝利は遠のくのみだ。
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