第5話

と、まぁ……、



こんなところで自分の幸薄度を自慢をしても悲しいだけだし、振られたアイツは戻ってこないし。



そろそろバイトにでも行こう、と重い足を引きずるようにして歩く。



気分は最低だし現実逃避しちゃいたいけど、働かないともっと切実な問題が別の意味で迫ってくるわけだから。




……


…………だが、現実は時に残酷だ。





「え?冗談ですよね!?」


「いやーごめんね?冗談じゃないんだよ~。ほら、神田くんはここでもう長い社員でしょ?彼に辞められると困るし」


「別に私情を挟みませんよ」


「とは言ってもねぇ……神田くんは君がいると仕事しづらいから今日は休むって言うんだよ。ね、君が私情を挟まなくても、これは問題でしょ?」


「だから、わたしに辞めろと?」


「ごめんねぇ~、でも君だって分かってるよね?自分のしたことをさ。まぁ……今日までのバイト代は払うから、納得して頂戴」





…………納得しろ、だって?

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