第22話 仏W杯 チケットが無い!2
ワタナベは1998年6月10日から開催されるフランスW杯直前に「各旅行会社がW杯ツアーでチケットが手配できていない」との情報を得る。
そしてフランスのホテルでチケット販売受託業者からの連絡を待つスポンサー企業、そして旅行業者をロンドン支局マイラースタッフ、アリスを通じて既に確認している。
そのウラ取りを東京に求める。
ワタナベ「やばいっす、仏杯の件で」
東京デスク「ほとけ?」
ワタナベ「あ、すいません、フランスさかずきの件で」
東京デスク「盃?」
という無駄な会話があったのち
ワタナベ「フランスサッカーワールドカップで、チケットが日本の旅行会社に直前になっても届いていないらしいので、各旅行会社に聞いてみてください!」
しかし、東京デスクは
「そんなバカなことあるかい 笑」
と取り合わないのである。
「大体、もうW杯ツアーは各社売り出してるんぞ。チケットが無かったら売らんだろが」
ワタナベ「だから、大変なんですよ!自分の知り合いの旅行会社のW杯ツアー担当者が真っ青になっていますし、何よりウチからフランスのホテルに偵察に行かせたスタッフが、現地で業者、いや、スポンサーさえもチケット連絡の待機でホテルに集まっているのを確認しています」
東京「ちっこい旅行会社はともかく、大手やスポンサーがそんなことあるかい!」
ワタナベ「とにかく、東京で各社に確認してください」
東京「わーった、分かたから」
この電話の後、東京が確認したかどうかは知らない。
しかし、その対応の様子から見て、真剣に根掘り葉掘り旅行会社に聞いたとは思えない。
自分は、5月末、ロンドンでワタナベを呼び出した旅行会社の仏W杯の担当者の顔を忘れない。目の下にただのクマではない。ヒグマか、さもなくばビッグフットがいるのである。しかも群れを成して。
「全く寝ていない」という。
「約束のチケットが旅行会社に届かない」
暫くフランスはじめヨーロッパを駆けずり回り、昼も夜もチケットの手配に明け暮れたが、取れたのは闇市場からの数枚。
フランスのとあるホテルのロビーに行ってみてほしい。そこには各旅行会社の担当者、そしてスポンサーの偉いさんが、チケット販売会社からの割り当ての連絡を待っている。(それを確認したのがロンドン支局のマイラーアリスだ)
取れないのはFIFAが出し惜しみをし、チケット販売の代理店が闇市場に流しているからだという証拠がある。
彼は既にフランスヨーロッパでチケットの闇市場に手を突っ込み、巨大な利権の前に命の危険を感じていた。
彼はその命の危険も敢えて賭しながら伝えた。
そこでワタナベに頼みがある。この状況を日本で報道してほしい。
そこまでの告白の中で私は、この協力者を信じるに値すると判断した。
ワタナベは、この担当者のためにも、東京を当てにせず、自分で東京の大手旅行会社に連絡し、ネチネチとチケットの有無を確認すべきだった。
さもなくば、この命がけの担当者に顔出し無しでインタビューすべきであったのである。
(続く)
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