第7話
数時間前
廊下でのイチハラとの会話の後、シガタは決意を込めて唇を引き結んだ。「これでうまくいくはずだ。」そう心の中で念じながらも、心臓は不安と恥ずかしさで跳ね回っていた。彼はユイに伝えるべきメッセージを届けるため、廊下を歩きながら彼女を探した。図書室、裏庭、さらには屋上まで探したが、彼女の姿は見当たらない。
「こういう時に限ってなんで見つからないんだよ…」と、ため息をついて頭をかいた。
ようやく見つけた時、ユイは窓際の廊下で壁にもたれかかり、携帯を眺めていた。シガタの足音に気づくと、彼女は顔を上げてほほえんだ。
「シガタくん、どうしたの?」
シガタはごくりと唾を飲んだ。早く言え。これ以上、妙な空気にするな。
「お、俺…その、探す時に限って全然見つからないんだなって。」
彼は視線を逸らし、ぎこちなく言葉を口にした。
ユイは楽しそうに片眉を上げた。
「そんなに必死に探してくれてたんだ?シガタくんって意外としつこいのね。」
「まあ、そういうわけじゃないけど…」シガタは頭をかきながら苦笑した。「実は友達が君に伝えてほしいことがあって。放課後に校門で待っててほしいってさ。」
「誰のこと?」ユイが興味深そうに尋ねた。
シガタの胸に圧迫感が襲いかかる。これ以上長引かせるな。ただ言ってさっさと終わらせろ。
「待つのか、待たないのか?」彼は焦れたようにぶっきらぼうに聞いた。
ユイはその急な態度に少し驚きながらも頷いた。
「わかった。待ってみる。」
「ならよかった。」シガタは振り返ると、すぐにその場を立ち去った。彼女が追いかけて質問する隙も与えずに。
去っていく彼の後ろ姿を見つめながら、ユイは首をかしげた。
「どうしてそんなに焦ってたんだろう。何か隠してるのかな。」
だが、それ以上深く考えることはしなかった。「きっと何かくだらない理由ね。」
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放課後、校門前にて
ユイは校門のそばに立ち、夕日に照らされながら考え事をしていた。誰が自分をここに呼び出したのだろう、と。
「もしかして…シガタくん?」突然、その考えが頭をよぎり、頬が赤くなった。「まさか、ね?でもさっきの彼、なんか変だったし…。もしかして告白?」想像が膨らむにつれ、ユイは顔を手で覆い、必死に冷静さを取り戻そうとした。「もう少し待ったほうがいいかも…」
その時、予想外の声が沈黙を破った。
「ユイ?」
ゆっくりと手を下ろすと、そこには緊張した表情のイチハラが立っていた。ユイの心臓は高鳴った。「イチハラくん?彼が来るなんて思わなかった…」彼をじっと見つめ、次の言葉を待った。
イチハラは深呼吸し、落ち着こうとした。
「ユイ、俺は…」一瞬言葉が詰まり、内心で葛藤していた。「シガタくんはいい友達だ。俺がこうしてここにいるのも、彼が後押ししてくれたから。でも…ユイにとってこれが本当に良いのか?」
最終的に彼はため息をつき、意を決して言った。
「シガタくんがここで待っててほしいって言ったんだよね?」
「うん、そうだよ。じゃあ、あなたがその友達…?」ユイはまだ困惑していた。
イチハラは寂しげに微笑んだ。
「そうさ。でも、正直に言うよ。最初は君に気持ちを伝えるつもりだった。これがそのタイミングだと思ってたんだ。でも…やっぱり違う。君の気持ちは俺には向いていない。しかも、シガタくんのこともある。彼は君が好きかどうかを俺に聞いてきたんだ。あの時の彼の目は、まるで心が砕けそうなほど悲しげだった。」
ユイは目を見開いた。「シガタくんが…?」
イチハラは続けた。
「彼は本当に君のことを大切に思ってる。それがわかるんだ。俺なんかより彼のほうが君には合ってると思う。だから、ここで身を引くよ。お幸せにね、ユイ。」
最後に微笑みかけると、イチハラはその場を去り始めた。遠くから木陰に視線を向け、シガタに向かって親指を立ててみせた。
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木陰から見ていたシガタ
彼は拳を握りしめ、悔しさで木の幹を叩いた。「なんでこんなことに…!友達のはずなのに、全然うまくいかないじゃないか。」息を荒くしながら立ち上がると、自分を落ち着かせるように呟いた。
「もうこれ以上は関わらない方がいい。ユイのためにも…」
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一方、その場に残されたユイ
彼女は校門前に立ち尽くし、胸の鼓動が早まるのを感じながら小さく呟いた。
「どうしてこんなことしたの…?」
答えは明確だった。シガタは自分を気にかけていたのだ。その事実に気づいた瞬間、ユイの顔はさらに赤くなった。
「シガタくん、ほんとにバカね。」そう心の中で呟くと、自然に笑みがこぼれた。
そよ風が吹き抜ける中、彼女の中で新たな感情が芽生え始めていた。
日本語版:
著者からのメッセージ
皆さん、こんにちは!
先週、新しい章を投稿できず申し訳ありません。仕事が予想以上に忙しく、時間を取れませんでしたが、もう戻ってきました。皆さんの温かい応援とご理解に感謝します!
次の更新をお楽しみに。
—ECKO OKINO
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