人権がないっ!?

くぼたひかる

第1話 プロローグ

あんちくさん

@antichthon


誰も信じてくれないので、ここに書く。

聞いてほしい。

この前のニュース、見たよな? あのNASAのやつ。

「太陽の向こう側にもう一つの地球のような存在が確認された」って話。

午後2:50 · 2025年1月13日




反地球(クラリオン)――。

太陽を挟んで地球のちょうど反対側にある、99.999999%……限りなく地球に近い存在。

観測はできるけど、決して近づけないらしい。

午後2:52 · 2025年1月13日




あのニュースを聞いたときは、「ふーん」くらいにしか思わなかった。

でも、今は……。


3日前、家に帰ったら――リビングに『俺』がいたんだよ。

午後2:54 · 2025年1月13日




最初は泥棒かと思った。だけど、そいつは俺の顔で、俺の声で、堂々と椅子に座ってた。

向こうも驚いた顔で俺を見てた。


「お前、誰だよ?」

「お前こそ、誰だ?」


どちらが先に言ったのか覚えてない。

午後2:56 · 2025年1月13日




俺たちは完全に同じ声だった。

「ふざけるな!ここは俺の家だ!お前、なんなんだよ!」

「こっちのセリフだ。ここは俺の家だ!」


互いに一歩も引かなかった。

午後2:58 · 2025年1月13日




その後の話をしても、信じてもらえないだろう。

俺たちは口論になった。何を言っても噛み合わない。


「俺が本物だ!」

「お前こそ偽物だ!」

午後3:00 · 2025年1月13日




殴り合い、蹴り合い、叫びながら、何度も同じ言葉をぶつけ合った。

どちらも自分こそ本物だと信じていた。


終わったのは、俺が包丁を手にしたときだった。

午後3:02 · 2025年1月13日




刃が突き刺さった瞬間、向こうは大きく目を見開いた。

俺と同じ顔が、苦痛に歪んだ。


血がゆっくりと床に広がる。

向こうは体を震わせながら、無言で俺を見つめていた。

午後3:04 · 2025年1月13日




その視線は次第に虚ろになり、力が抜けていくのが分かった。

そのまま動かなくなり、俺と同じ顔の目が、何も映さなくなった。


次の瞬間、『俺』の体はふっと消えた。

午後3:06 · 2025年1月13日




血も、体も、跡形もなく。

俺はその場に崩れ落ちた。震える手で、何もついていない包丁を見つめた。


何が起こったのか分からなかった。

あれは何だったんだ?

午後3:08 · 2025年1月13日




これは……俺の妄想なのか?

それとも、本当に……あいつはクラリオンから来たのか?


誰か、同じ体験をしたやつはいないか?

いたら、教えてくれ。

午後3:10 · 2025年1月13日

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