参話「蟹は空見上げ、落ちてく火花は下を見る」
空は暗く星1つ見えないが、暗闇に浮かぶ1つの丸がこの『波械』内にあるオフィス街を孔光と照らしている。
そんなオフィス街のビルとビルとの隙間で海風 流は満月を見上げ、白い団子を食べながらとある妖を待っていた。
背後から波の音が聞こえる。流はひとつ余っている団子を方に居る華雀に咥えさせて、後ろを振り向く。
「遅いぞ、
そこに居たのは名に蟹と着くように、確かに蟹だった...しかし、そのハサミがついている腕は途中で枝分かれしており、ハサミが4本着いていた。
「すみませぬ、あちらとこちらでは時間感覚が違いまして」
その言葉に流は再び満月を見てたしかにと頷く。
「それで...我が主は欲しているという情報は手に入ったでございましょうか?」
「うむ、あのカラクリにどうやって取り付いているのかはわかったぞ」
「素晴らしい速さでございます。我が主も貴方様に頼んで良かったと思うことでしょう」
「それならいいのだがな...それで、わかった情報なのだが、どうやらカラクリの部品の中に月の石...というてもそこら辺の石ころ程度の大きさじゃが、その周りを肉塊で丸め込んでるものがあるのじゃ」
「...たし蟹。妖と月の石は波長が合う...いや合いすぎると言っても長期間過ぎると思いましたが....まさかそうしてくるとは」
「うむ、私とてびっくりじゃ。相手にとってはトラップとしても機能しておるし...」
「やはり...1度取り付いてしまったら剥がせぬと...」
その言葉に流は深く頷く。
「あぁ...私の相棒である華雀の話だとその場所が人でいう心臓のような扱いになってしまっているらしい」
流はそう言って肩に止まっている華雀を横目で見る。華雀は慌てて食べていた団子を飲み込むと喋り出す。
「んっ...でも、妖械になる前より少し強くなったのが分かってるちゅから...黒幕は人員強化の為も考えてこれを作ったとおもうちゅ」
「それもそうですな....相手は純粋な妖に戻す為に協力させるという事もしてくるでしょうね...」
「確かにそうじゃが....そういう事はそちらに任せてよろしいか?」
「えぇ、もちろんでございます。そして、情報提供ありがとうございます。今後とも私くしと、我が主にできることがあれば何なりと私を呼んでお申し付けくださいませ」
「わかった。それではまた新しくわかったことがあれば報告する為によぶからの」
「分かりました。それと、こちら我が主からでございます」
十束蟹はそう言って、どこかしらか玉手箱を取りだし紐を切らないように解く。
流が蓋を開けるとそこには黄色の団子がいくつかはいっていた。
「うむ、ありがたく受け取っておこう」
流はそれを見ると紐を再び結び懐に入れる。それを確認した十束蟹は「はい、それではまた」と言って後ろを振り向く。
再び波の音がすると、どこかから集まった水が十束蟹を包み込み「バシャ」っとその場で弾けるとそこには姿が既に無くなっていた。
「...華雀。そろそろ我らも行くぞ」
「分かりましたちゅ」
流はビルの隙間から広場に出る。
ビルの多くはまだ電気がついており、街中を歩いている人物は全員目が虚ろとしていた。
流は人にぶつからないようにゆっくりと、人の波が来ている反対側を歩いて行く。
「やはり...気味が悪いな。いや、妖である私が言う言葉でないのだが...」
「一昔前からこうちゅけど...最近はさらに多くなった気がするちゅ」
2人がそんな会話をしてゆっくり歩いていると、不意に虚ろな目の人々が男女構わずビルとビルの隙間に吸い込まれているのが見えた。
「あそこじゃな」
「そうちゅね」
2人はお互い確認すると、人の人の間を針を縫うように素早く走り抜け、その隙間にはいっていく。
そこには街灯があった。
いや、その街灯のポールは途中で折れており、そこから火花が散っているのにも関わらず、灯具から青い灯りを照らしていた。
流は直ぐにどうにかしないとまずいと思い、街灯を横に切る。
しかし、地面に叩きつけられた灯具の青い灯りは消えること無くむしろ、その場で「げっげっげっ」と笑い続ける上へ上へ上がっていく。
「なに?!」
上を見上げるとそこには、屋上のフェンスに竹かけられた傘から青い線が垂れ下がって、青い光を灯している灯具に繋がっているのが見える。
「華雀!人を吹き返して元の道に戻させろ!」
華雀は「ちゅん!」っと返事をして肩から飛び立つと、流はビルとビルの壁を蹴り上げて上へ上へと上る。
灯具が上がり終わると同時に、流も反対側のビルの屋上に着地する。
「お主...敵と言うことでよろしいな?」
「げっげっげっ」
流は何も言わずにそれを切り、消滅させる。
「....まさか...我らを見る為だけに...?」
スさっき切ったのは妖械ではなかった、つまり相手にとっての使い捨て妖かなのだろうか?しかしなんのために?
流はそんなことを考えながらも華雀と人々を元の道まで戻すと。
見晴らしのいいところまで向かい、お互いさきほど十束蟹から貰った、黄色の団子を月と見立てなら1つづつゆっくり食べるのだった。
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