第4話

◇礼拝堂に漂う陰鬱

 礼拝堂の扉は割れ、内部には埃と黴臭(かびくさ)い空気が漂っている。

 かつてここで神に祈りを捧げていた時代もあったらしいが、今は生贄を待つ儀式の場と化している。

 壁にかろうじて残るステンドグラスには、色褪(いろあ)せた聖人の姿が映っている——しかしその表情は摩耗(まもう)し、どこか嘲笑(ちょうしょう)しているようにも見えた。

 イリスはそこへ足を踏み入れ、やがて祭壇の前に立ち止まる。

 「もし……神様がいるなら、どうしてこんな世界を放っておくの……?」

 微かな声で問いかけても、返ってくるのは虚無だけ。

 人々の嘆きがこだまする場所であるはずの礼拝堂には、奇妙なほど冷たい沈黙が満ちていた。

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