Chapter2

第23話

「アルバイト?」



「はい。高校生になったから、アルバイトして家にお金を入れたいなって」



「そんなことは考えなくても、うちは大丈夫ですよ。でもそうですね、何事も経験は大事です。良いかもしれませんね」



「本当ですか!?」




高校へと向かいながら二人でおしゃべり。



ずっと考えていた、家計を少しでも助けられたらって。



お許しが出ました!!


やった!!




「何が良いですかねー」



「そこは私が紹介しましょう」



「えっ!?」




喜田川さんの紹介!?



ど……どんなものなのでしょう?




「ほら、青です。渡りますよ」



「はいっ」




信号待ちをしていて、青になったから横断歩道を渡ります。




「しかし、夜はダメですよ。そして……」



「……う”っっ」



「「!!??」」




喜田川さんの、アルバイトにするにあたっての条件を聞いていた時、後ろから呻き声が。



何事かと、喜田川さんと後ろを振り返ると……



妊婦さんが横断歩道の真ん中辺りで蹲っていました!



大変!!




喜田川さんと駆け寄ります。




「どうされましたか?」



「大丈夫ですか!?」




妊婦さんは真っ青で、息も荒い。




「……破…水した……み…」



「すぐ救急車を呼びますね。立てますか?」




あたしと喜田川さんで両脇を支えて、なんとか立ってもらおうとする。



ここから動かないといつ車が来る……



信号が点滅し始めました!!




なんとか立てた妊婦さん。


けれど、無情にも信号は赤になり……



1台の車が向かってきます!!



あたし達に気付いてない様子。



異変に気付いた周りの人達も助けようとしてくれる




「喜田川さん!!」



「ええっ!!」




あたしと喜田川さんは二人で妊婦を抱え上げた。



そして駆け寄ってきてくれた男の人二人に渡す。




パッパッパーーーーッ!!




ようやく気付いた車が、クラクションを鳴らします。




「アンタ達も早くこっちに!!」




と言われますが間に合いません。



せめて喜田川さんだけで……



















ドンッ!!




「きゃあっ!?」




力いっぱい突き飛ばされました!!



突き飛ばされながら見たのは





「喜田川さんっっ!!」




ブレーキを掛けながら、でも停まらない車が喜田川さんに突っ込んでいくところ





「いやぁあああっ!!」

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