カフェ『fluffy』

かず

プロローグ 『fluffy』へようこそ

 まだ太陽が上り切らず薄暗い浜辺を大きなマイバックに沢山の食材を入れて歩く。暖かくなってきたとはいえ、早朝の浜辺は海からの風が強く少し肌寒い。マイバックを砂浜に置いて、着ているコートのポケットからスマートフォンを取り出し、カメラアプリを起動して海に向かってパシャリとシャッターを切った。水平線が白ばみ光り輝く太陽が上ろうするこのほんの僅かなひと時が昔から好きだ。

「今日も頑張ろ」

そう自分に言い聞かせる様に呟いて、スマートフォンをポケットに押し込み、置いた時に底についた砂を払ってからマイバックを持ち直すと、今日やっとオープンにこぎつける事が出来たカフェ『fluffy』へと私は足を進めた。

 海に面した片側一車線の道沿いを上る太陽を右手に見ながら歩き、海から山に向かって伸びる大通りの前を通り過ぎる。街から少し離れた場所に広がる大きな滑走路を眺めてから、白い木の壁に紺色の屋根。薄水色の枠に店内が見えるようにはめたガラスには店名と可愛い葉っぱの模様が入ったドアの両脇にはお客さんを出迎える植木と本日のモーニングと手書きで書いた黒板風のメニューボード。メニューボードの文字にミスがないかチェックをしてからドアを開けて私は店の中に入った。

カウンター席が四つとテーブル席が三つ。床は前日念入りにモップをかけてピカピカにしたし、オープン前に店内に飾る花も

「さぁ! 頑張ってモーニング用のイングリッシュマフィンサンドいっぱい作らなきゃ」

と気合を入れた。

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