第2話 バック・トゥ・ザ・異世界っちゃー異世界?
「で?」
私は、この侍
「どっからきたの?」
奴は私の親切をミリも疑わず、
「おい、聞け?」
奴の首根っこを掴む。朝食まで用意したんだ。主導権は私にある。私ってヒモ男調教の才能あるのかも。
「いほはらはっ」
「え、なんて?」
奴は最後のひとつを喉を大きく鳴らして飲み込む。
「井戸からだ」
待って、井戸からとか成仏キャンセル界隈の方……? 思わず奴の胸元を見る。……
「食った食った死ぬかと思った。ありがとう。俺リョーマ!」
圧倒的感謝に紛れる雑な自己紹介。
「カゲローの奴、俺が食おうとしてた
「カゲロー? ふりもみこがし?」
ふんころがしの話してる? 食べんの?
「菓子のことだ。まだ城下には出回ってねえのか」
ダメ。日本語なのに何も伝わってこない。検索したら出てくるかな。
「カゲローってのは殺し屋で、ここらじゃ“
「……殺し屋、悪友?」
「それなりに名の通った奴なんだけどなー。ま、いっか」
ぜんぜん良くない。殺し屋がそれなりに有名であられちゃ困る。やっぱ警察呼ぶのが正解だわ……。検索しかけた指で、画面を長押しする。
「んで探してたら、うっかり井戸に落ちちまってよ。戻ったら俺の
いつ本性を現す? 気が気じゃない。心ここに
「待って」
慌ててスマホを閉じる。
「
いつから私は冷静だと錯覚してた?
「いや井戸からきたぞ俺は」
「それより傘ねえか?」
リョーマの表情が露骨に曇る。
「傘? こんなにいい天気なのに?」
「俺の傘、井戸に立てかけといたんだけどよ、どっかいっちまってさー」
私は窓から古井戸の方角を見やり、ふと気づく。
こいつ、
ここは曲がりなりにも
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