第11話 おじさん、パンツを作りたい。

 

 夜の23時過ぎ。

 龍俊の部屋のドアがノックされた。


 「はいっす」


 「あ、あ、あ。あのっ。エルンです……入っていいですか?」


 エルンは黒いレースのナイトウェアを着ていた。ガウンを脱ぐと肩が露わになった。


 龍俊は無関心そうに聞いた。

 「なんすか?」


 エルンは潤んだ目で、龍俊を見上げた。

 その頬は上気して、年の頃よりも妖艶に見える。


 「あ、あの。お父さまに、龍俊さんにお礼をするようにって……」


 「うひょ。嬉しい申し出ではござるが、どれ」


 龍俊は、エルンを押し倒すと足を広げた。


 「ひいっ。……はじめてなの。やさしくして……」


 龍俊は手を額にあててビシッとした。


 「パンツがないっす!! 何度も言うようっすが、ノーパンエルンには興味がないっす!! ノーサンキューっす」


 「パンツパンツって何なのよ。そんなの知らないわよっ」


 「へっ。もしや、この国には……、本当にパンツがないっすか?」


 「……ないわよ……」


 龍俊は地面に跪いた。


 「なんてことっすか。拙者としたことが……。ジョークかと思ってたっす。ノーパンツ・ノーライフっすぅ!!」


 エルンは龍俊に声をかける。


 「わ、わたくしの大切な所を2回も見たのに、コメントもないの??」


 龍俊は全く聞いていない。

 拳を握り、地面を殴っている。


 龍俊はエルンの両肩を掴んだ。


 「エルンたん、織物職人を紹介して欲しいっす」


 エルンはビクッとして、身構えた。


 「ひいっ。お、おかされ……る?? わけでもないのね。こほん。むしろ、……してくれないの? 手ブラじゃお父さまに合わせる顔がないのです」


 「パンツ履いて来たら考えてやるっす!!」


 エルンは思った。


 (なんかいつの間にか、わたくしが龍俊にオネダリしてるみたいになってるじゃない!!)


 「織物職人なら、街の東にいるわ。わたくしの名前を出せば、話くらいは聞いてくれると思う」


 「ありがとうっす!! うひょー!!」


 龍俊はすごい勢いで走り去った。

 エルンは龍俊の後ろ姿を見送っている。


 すると、砂埃をあげて龍俊が戻って来た。

 ひゅーひゅーと息を切らしている。


 エルンから声をかけた。


 「どうかしました?」


 「ひゅー、ひゅー。自分のことは大切にするっす。エルンたんは、こんなおじさんにはもったいないっす。……でわっ!!」


 「窒息しそうになってるじゃない。ほんと、バカなんだから……」


 そう言いながらも、エルンの口元はゆるんでいた。

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