第28話 監視所の確認と女子会
アルベルトは低い姿勢で、同様の姿勢を取るエレナ・ワークス情報将校と監視所に向かっている。
「兵士の護衛を連れてきた方が良いんじゃなったんじゃない?」
アルベルトは所感を述べた。
「訓練を受けていない、子供、それも女の子を連れて監視所に行くのは帰って不安ですね。危険が高すぎます。それに下級指揮官が危険な任務に率先して当たらないと兵の信頼を得られません。また監視所の状態を確認するには自軍の目で確認する必要があります」
「真面目なのね。だけど私も一応女の子に当たるのよ」
「将校殿に間違いはありませんからね。それにお願いもあります。それに部隊の生存と自分の命に係わる事ならだれしも真面目になります」
くすくすエレナは笑い始める。
「それでお願いとは。まさか監視所で性的な事をお願いされるのかしら?」
「それはとても魅力的な事ですが、違います。情報将校殿の伝手で手練れの兵士を4人くらい監視世に派遣してもらいたのです。それと通信工兵班を一時的で良いので派遣して欲しいです。電話は義勇兵小隊の指揮所につないで欲しいです。私が中隊長に行っても受け入れてくれませんからね。それの義勇兵小隊から歩兵を数人派遣しても、訓練もほぼ実戦もしていない歩兵ではパニックを起こして、正確な報告を送れなかったり、最悪戦闘に巻き込まれる事があります。そこで自分で判断せよでは指揮官の義務を放棄していると取られても文句は言えませんし、戦死や捕虜になると自分が許せなくなりそうですからね。それに義勇兵小隊の兵力をこれ以上割けば、戦闘に支障がでます。全く理想論と耐えがたい現実で要請をしています」
「優しいのね。アルベルトは指揮官には向いていないんじゃない。部下の戦死になれない将校なんてやっていけないわよ。監視所に詰める兵の事は了解したわ。なるべく急いで手配するわ」
「見えてきましたよ」
「どこよ」
「上手く偽装されていますね。それになんで名前を呼び捨てなのですか?二人っきりだと良いじゃない。信頼と尊敬の証よ」
「それは光栄ですね」
そう言ってアルベルトは監視所の入り口に入ると共に、電話を発見し、電話の受話器を取り、ダイアルを操作する。何回のコールで通信兵が電話に出た。
「ミューズ河防衛線の指揮所ですか?アルベルト・フレイア義勇兵少尉です」
「はい。どのようなご用命でしょうか?」
「情報将校殿に変わって欲しいです。エレナ・ワークス情報将校中尉からの要請です」
「了解です」
こうしてアルベルトの戦闘を準備を進めていった。
その頃、義勇兵戦車小隊。
「安全が確認できたと思うので小休止しましょう」
バルデン義勇兵先任軍曹が言う。
「そうですね。小休止をしましょう」
ルクレール伍長も同意する。
エル・バルデン義勇兵先任軍曹は戦車のクルーに声をかける。
「木陰で休みましょう」
「分かりました」
「はーい」
ちょっと堅物を感じさせるエリカの声とどこか能天気さを感じさせる明るいエミリアの返事が返ってきた。
3人は木の側に座ると楽しそうに話を始める。
「今日は隊長さんがいないのにちゃんと指揮を執れましたね。これでほめてもらえますね」
エミリアが話し出した。
「ちょっと頑張りました」
「ほめてもらえる事には否定しないのですね?」
エリカが冷静に突っ込んだ。
「それは1人で指揮ができるんだと思ってもらえて、ほめてもらえると嬉しいですけど、任務の為に頑張りました。それだけです」
「本当ですか?隊長さんはいつも私たちの事を考えてくれますし、頼りないと思っていましたけど、戦術家としての腕はありますし、いつも危険な事をしてくれて、ちょっと格好いいですよね。告白をして付き合ってもらおうかな?」
エミリアが言う。
「部下と上官は1線を引くべきです」
エルはあわてて否定する。
「でも隊長さんと2人きりの時はエルと呼び捨てにされて、嬉しそうにしているるじゃないですか。私も優しい声でエリカと呼ばれて頭をなでてもらいとか思いますよ」
「見てたの?」
「エミリアも私も見ていますよ」
「それは先任下士官としての特別でそれ以外なにもありませんよ」
「あんな幸せそうな顔をしていたのに?戦争をしているから、いつ死ぬか分からないから決断をした方が良いと思いますよ」
エミリアが言う。
「そうね。顔立ちは整っているし、優しいし、誠実そうだし、指揮は取れるし、作戦も考えられる。そんけいできますし、一応貴族で土地を持っていますし、悪い選択で張りませんね。私も尊敬していると言う気持ちを伝えようかしら」
エリカはミディアムボブの髪の毛を無意識かきあげる。
「孫想中に不謹慎です」
エルが話を終わらそうと乙女の悲鳴を上げる。
アルベルトが帰還するまで、女子会は続くのだった。
続く
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