チキンなんかでもイチャイチャしたい

蘭 藍  (あららぎ あい)

第1話 チキンでも時間は忘れる

 ーチキンー

英語では、Chickenと表され、日本では食用の鶏肉のことをさす。牛肉や豚肉、羊肉に並んで世界中で好まれて食べられている。それに食のタブーに触れることも少なく、他の食用の動物たちと違い一個体の大きさが小さい。その上さまざまな部位が取れるので多くの料理のレパートリーが存在しており全世界で人気のある存在である。

高温の油でカラッカラに揚げられた唐揚げ。炭火でじっくりと焼かれた焼き鳥。お祝いごとの時に食べるザックザクのフライドチキン。しかし人気がゆえ、しばしば論争も起こる。「唐揚げにはレモンをかけるべきだ!」だの「焼き鳥はモモが一番!」だの「骨なしフライドチキンはフライドチキンじゃない!」だの。ちなみに僕はレモンはかけるし、皮がいちばん好きだし、骨なしフライドチキンが好きだ。


しかし、チキンにはもう一つ意味があるのをご存知だろうか?それは人の性格を表す、「臆病者」という意味である。ようは、めちゃんこビビリで恋愛に壊滅的に向いてないタイプだからこの時点でもう諦めろ⭐︎


「バンッ!!!」


「うん、駄作!てか………作者の好みとか知らんわ!!!」

そう言って俺は本を勢いよく閉じた本の表紙を見た。

「なーにが、「恋愛なんてこれ一冊!恋愛の取り扱い説明書!〈永存版〉」だ!チキンは恋愛なんて不可能ってことか!ふざけんなや!金返せ!!!!」

「りーん、静かにしてー!ニュースが聞こえないー!」

っと、下からの苦情で俺はようやく冷静になれた。失礼、お見苦しいところを見せてしまった。でも流石に開始1分で2000円をドブに捨てたことが発覚したんだ。許してほしい。


「コホン、初めまして皆々様。私の名前は扉鳥 凛と申します。ローマ字の綴りは、

T・O・B・I・T・O・R・I・R・I・N。顔は中の中。身長は161センチ。体重は61キロ。彼女いない歴イコール年齢の普通の高校生de…」

「さっきから何ブツブツ言ってんの」

「いやなんか自己紹介が必要な雰囲気を感じてね」

「そんな本読む前に、直すことがあるんじゃない。そういうとこだよ多分」

「朝から辛辣すぎやしませんか夏さんや。結構来たぞ今の。お兄ちゃんのハート砕け散るかと思ったわ」

こいつの名前は、扉鳥 夏。中3の俺の妹である。結構ズバッというタイプだが世界で2番目に可愛い我が妹だ。

「勝手の感傷に浸ってるのはいいけど電車、遅れるよ」

「え?まさかー。お兄ちゃんを騙そうったってそうはいかないぞ。だって今日は5時に起きたんだぞ。もう1時間半も経ってるわけna…」

「5分」

「へ?」

「電車来るまで残り5分」

「……まじ?」

「まじ」

「まじまじの…?

「まじ。」

「魚へんに青で…?」

「あじ。」

「…………って遅刻する〜〜!」

「じゃ、お先。ママー行ってきまーす。」

「あ!待てー夏!お兄ちゃんを置いていくな!お母さん!行ってくる!」

「2人ともいってらしゃーい!って、ちょっと待って凛!弁当持った?電車間に合うの??鍵も持ってる??」

「持った持った!だいじょーぶだから!お母さん、行ってきます!!」

「ならいいわ。いってらっしゃい2人とも〜!」





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