今日のあなたの緊張は、どこから? 私に全部話して楽になるのは、どう?

まなか

第1話 私に向かって歩いてくるのを見るのが好き。

女には、男に一生見せない秘密がある。

知っていた?

私にもあるよ。

あなたに見せていない顔。


あなたと私が待ち合わせしたとき。

いつも、私が先にいるということに気づいた?

たまたまじゃないよ?

わざとだよ?

毎回。


私は、私が先に着ける時間をあなたとの待ち合わせ時刻にしている。


私が先にお店に入るとどうなると思う?


「お一人ですか?」

お店の人に聞かれるよね。

「後からもう一人来ます。」

と答える瞬間。


もしくは。

「何名様ですか?」

このパターンもあるよ。待ち合わせスポット化しているお店だとね。

「二人です。」

と答える瞬間。


私は、一人でニマニマしている。

あなたは、勿論知らないよね?

私のニマニマ顔をあなたは見ていないよね?

あなたが来る前のことだから。


後から、あなたがわたしのところへ来ると知っているから、私はニマニマが止まらない。


私は、先に来てあなたを待つのが好き。

あなたが、私に向かって歩いてくるのを見るのが好き。

ずっと真正面からあなたを見ていたい。


あなたを待つときは、背中が壁に来る側にいつも腰掛けている私の意図に気づいている?

壁を向いていたら、あなたが来るのが見えないからよ。


顔を見て話をして。

手を繋いで出かけて。

たまには、泊まりもするけれど。


帰り道は、いつも寂しくなる。

私が家に着いたら、あなたも家に着いているけれど、私とあなたと帰るところは、同じじゃない。


あなたとの待ち合わせ場所はいつも、私の家とあなたの家の中間地点。

帰るときは、バラバラ。


私は、もっとずっと、あなたと一緒にいたいと思っているよ。

あなたは、どう思っている?

あなたは、私とずっと一緒にいたい?

あなたが私と同じ気持ちを持っていたらいいのにな。


「今日も待たせた。ごめん。」

歩いてきたあなたは、椅子を引いて座る。

今日のあなたの真正面もかっこよかった。

いつもと違って緊張している?

今日がお高めで半個室の、雰囲気抜群なお店だから、遅れては入りにくかった?

ひょっとして、今日は待っていた方が良かった?

今日のお店は、あなたが探して、私が予約した。

あなたが、緊張しているのを私に隠そうとしているから、私は気づかないフリをする。

「いつだって楽しんで待っているから、大丈夫。」


あなたがお店に入ってくる瞬間に、私はニマニマ顔から、ニコニコ顔に変えているよ。

私は、あなたを待つプロ。

ニマニマ顔がバレるようなヘマはしない。

あなたは、ずっと私のニコニコ顔を見ていてね。


今日の私達は、お寿司を食べた。

私はシャケとハマチが好き。魚介サラダもね。

あなたは、卵と鯛とマグロが好き。茶わん蒸しも好きよね?


先週食べたのは、ラーメンだったね。

私は塩ラーメンにバターを追加。

あなたは、味噌ラーメンに野菜を追加。


先々週は、ハンバーグを食べに行ったね。

私は、おろしポン酢。

あなたは、デミグラスソース。


同じものを食べに行っても、味の好みが異なるあなたと私。

どんな料理でも、あなたと食べるご飯が、一週間で一番のご馳走。


私、少し心配していることがあるの。

聞いてくれる?

あなたと一緒に家でご飯を食べるようになったら、味付けはどうしたい?

混ぜるわけにもいかないよね?


あなたに聞いたら、あなたはなんて返すかな?


今日のあなたは、口数が少ない。

そういう日もあるよ。

私は、あなたが話したくなるまで待っている。


待っている間は、あなたを見ながら、心の中でうるさいくらいにあなたに話しかけるね。


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