第6話

第6節:命と宇宙の繋がり


1. 命のリズムと宇宙の法則


夜遅く、志倉陽(しぐら・ひかり)は研究室の薄暗い光の中でデータを眺めていた。細胞から発せられる微弱な波動、「命の残響」を観測するための装置が、静かに音を立てている。


「この波形、なんかおかしいな……」


普段と少し違うデータの揺らぎに、志倉は目を細めた。そのリズムには、どこか規則的なものがある。まるで音楽のような、心臓の鼓動のような、自然界のサイクルを感じさせるものだった。


「細胞がただ生きとるだけやない……この波動、宇宙のリズムと関係あるんちゃうか?」


志倉はそう思い、机の上に広げたノートにアイデアを書き留めた。月の満ち欠けや潮の流れ、そして星々の動き――これらもまた、一定のリズムを持っている。そしてそのリズムが、人間の体や命と何らかの形で繋がっている可能性がある。


「命って、宇宙のリズムを刻む一部なんかもしれんな……」


2. 自然と命の調和


研究室の窓を開けると、冷たい空気が流れ込んできた。外は静かな夜で、星がわずかに瞬いている。志倉はその星空を見上げながら、ふと考えた。


「人間って、自然の一部や言うけど、それを忘れてるんちゃうか?」


幼い頃、母と一緒に田舎の祖父母の家に行ったときの記憶が蘇る。田んぼの稲が風に揺れる音、カエルの鳴き声、満天の星空――都会では聞こえない音や見えない景色がそこにはあった。


「陽、自然をよぉ見なさい。自然はな、全部繋がっとるんやで。」


母がそう言って手を引いてくれたのを思い出す。その時は「なんやそれ」と思ったが、今になってその言葉の意味が少しずつ分かってきた気がする。


「自然と命の調和……それが命の本質なんかもしれんな。」


3. 命の起源を辿る仮説


志倉は、命の残響がどこから来ているのかを突き止めようと、遡るようにデータを分析していた。細胞が死んだ後も続く波動――それは、単なる物理的な現象では説明がつかない。


「もしこれが命の記憶やとしたら、命そのものの起源に繋がる手がかりがあるんやないか?」


聖書に書かれた「アダムとイブ」、日本神話の「天照大御神」、そして科学が語る生命の起源――それぞれは異なる視点から命の始まりを語っているが、もしかすると共通する部分があるのかもしれない。


「命っちゅうのは、最初の一つのリズムから始まったんちゃうか?」


志倉は、命の残響がそのリズムの一部を表している可能性に思い至った。


4. メッセージとしての命


ふと、机の上に置いていた一枚の写真に目が止まる。それは、父と母が一緒に写った古い写真だった。父が笑顔で手を振り、母がその隣で優しく微笑んでいる。


「この写真もそうやけど、物には全部メッセージが込められとるんかもしれんな……」


志倉は、小さい頃に父から聞いた話を思い出した。


「陽、世の中にあるもんには、どれも意味があるんや。石ころでも木でも、ただそこにあるだけやない。ちゃんと役割があるんやで。」


父のその言葉が、命の残響の研究に繋がっているように思えた。目に見えるものには、必ず何かしらのメッセージが込められている。それが命の本質に関するメッセージだとしたら――。


5. 科学と未知の融合


深夜、志倉は研究ノートに書き記した。


「命の波動は、宇宙のリズムと共鳴しとる。祈りや感謝がその波動を変化させるのなら、命には目に見えないメッセージが込められとるんやろな。」


科学と哲学、宗教、それぞれの視点が一つに繋がりつつあるような感覚があった。それは、まだ完全に解明されていない世界と、科学的根拠の間に架け橋を作る作業でもある。


「この研究を続けていけば、いつか命の本当の姿が見えるんやろか……」


志倉は、自分の中に湧き上がる疑問と興奮を胸に秘め、次の実験計画を考え始めた

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